2021.1.20 / Artist Tattoo YOUR TATTOO

彫師 PECO氏が語る、タトゥーの美学とエロス。『刺青の持つ、エロスを追求していきたい。』

お名前を教えて下さい。
”Gentle Ink Tattoo”の、PECOです。よろしくお願いします。

PECO氏が彫り師になった経緯は?

僕が彫師になった経緯…そう聞かれると本当になくて。逆に、みんなあるんですか?上手く言えませんが、なるべくしてなったと言いますか?神に愛されたというか…まあ一言で言うと、やんちゃでした。

実際、18歳の時に初めて彫りにいったんですよ。そしたら僕の前のお客さんが怖めなお客さんで。そんな怖めの人が『ありがとうございました!』って頭下げて帰ってて『リスペクト集められるんだ!』って。単純に格好いいなって。
その出来事
ぐらいで本当に大した理由もないです。

彫り師を始めた頃のタトゥーシーン

一応、僕が15年ぐらい(彫り師を)やってるんですけど…僕が彫り師を始めた頃のタトゥーシーンはもっとアングラ感があったし、怖かったですね。入れてる人よりも彫り師さんが怖かった。
自分が”彫り師”って言うのも怖くて、僕の友人の彫り師も、同世代もみんな「あんまりウチで彫ったってベラベラ言わんでね」、みたいな。だから僕らも宣伝もしないし、少ない(お客さんの)中でやりくりするっていう生活でした。

実際に怖い人に呼び出されて。そのお弟子さんとかも作務衣着て、丸坊主で。
そこで僕、ビビってソファーの上で正座して座りました。僕は独学でやってたので、守ってくれるものがないからっていうのもありましたね。

ご自身の作品に、コンセプトやテーマ的なものはありますか?

僕は元々、”分かりやすくお洒落なタトゥー”をやってから、当時はお客さんもファッション関係とか美容師さんとかが多くて。
海外生活も長くて、10年間ぐらい海外放浪しながらタトゥーをやってた時代があるんです。

当時、日本ではすごい”周囲からの圧”があって、そこから逃れたくて日本を出た。やりやすい環境で仕事して、ヨーロピアンなスタイルも学べたから良い経験でした。

そこで、ヨーロピアンなスタイルを自分のスタイルに持って行って売り込んでたんですけど、結局入るオーダーが”般若”とか”鯉”とかで。

「どうして?」って聞いたら『そのタトゥーは、別に(海外)ではどのショップにも一人はいるから、別に特別、貴方に彫ってもらわなくてもいいけど、貴方は日本人だし、日本人に和彫りを彫ってもらう機会は逆にそうそうないから。』って言われた時に「確かに言わんとしていることも分かるな。」と思って。

海外のおしゃれな若い女の子とかが、(和彫りを)腕に入れて『ねえ、私のハンニャマスク可愛いでしょ?』みたいな。それって、(海外)からしたら”異文化のタトゥーを彫ってること”はかわいい・おしゃれみたいな感覚なんだなって思って。

中途半端だと、どうしても”アメリカナイズされた和彫り”が出たりしがちなんですけど、”和”の部分はちゃんとフォローしつつも、ヨーロッパナイズドされた雰囲気をカラーリングだったり、線の持っていき方を自分だったら出せるんじゃないかなって思った。同時に僕結構…エッチなんで。最近、体を縛る《緊縛》を勉強してるんですよね。

教室があって、そこで練習させてもらってるんです。そこで『エロスとはなんぞや?』みたいな。SMの女王様のお友達がいて、話をしたりすると”和の持つエロス”っていうのはやっぱり強いなと思っていて。春画を観にいったり、自分が体を縛っていく中で感じる”ライン”とかを(デザインに)出せたらいいなって。

僕は浮世絵系のものを多く題材として持ってるんですけど、浮世絵スタイルをもっと僕の中でエロティックでファッショナブルなところまで持って行きたいなって考えてやっている所ですね。

僕はエロスで世は成り立ってると思ってる。やっぱりエロスがないと子孫繁栄もしませんし、子孫が繁栄することで新しい時代が生まれ、新しい人が作られる。全てはエロスなんで。

タトゥーを彫って、それが認知されて、みんなが評価してくれて、お金を稼げて、いい女を抱きたい。エロスをもっと見出したいそこに僕は重きを置いています。これは色んな彫師さんからケチョンケチョンに言われましたけど、僕はブレません。

作品がエロっけ満載…みたいな感じではないですもんね?
そうなんですよね、そこのギャップ。あれ?PECO、なんだかんだ言ってちゃんとやってるくない?”みたいな感じをちょっと出したい。

”和=Simple is Best”っていう古典的なものだから、とにかく線数を少なくして遠くから見ても何が何って分かるような作り方をすると思うんですけど、それをもより細かくしていくことで、「あいつなんだかんだ言いながらちゃんとやってんな。」って思わせるような感じで作ったりとか。

フルスリーブとか大きいボディスーツ系だと、背景に関してはコントラスト命で、下手な中間色はあんまり入れないようにしてて。黒か、凄い薄墨のグレーの”コントラスト”を大事にしていて。でも、メインにはたっぷりとカラーで中間色を使うっていうのが多分僕のスタイルで。

そうですね、言語化するなら。

言語化するのであればキュッと締める所は閉めて、ふわっとさせる所はさせて、メインは中間色でいやらしく持って行くみたいな。そこはもうエロス、それがエロスですから。

今までは僕自身のYoutubeチャンネル等でデザインとかの話がある時に大体「バイブスで。」って済ませてきたんで、こんな真面目に話すとは思ってなかったから、本当は全部嘘なんです。本当はバイブス一個でボクはやってるんで、そんな考えたことないんですね。まずデザインとかタトゥーのこと考えるのは、無心でやったら出来たみたいな所があるんで(笑)

本当にごめんなさい、嘘ですから。すいません、皆さんの時間を取らせました。

お客さんに感じ取って欲しい印象

お客さんがどんな思いで来ようと、別にそれは僕にとってあまり関係なくて。平等にいいものを作るっていう点では変わらない。僕自身が浮世絵をもっとファッショナブルで、エロティックな部分を出して行きたい、和に対する印象っていうを変えたい。って思いがある位で。もっと『え、めっちゃおしゃれ!』みたいな印象を与えれるような作品って部分で周囲と差別化したくて。それを感じてくれるお客さんがもっと増えたらいいなっていう。

後もう一つは、僕自身のキャラクターとしての感じ方をして欲しいっていうのもあって。従来の彫り師の形じゃない部分をもっと出していきたいって思ってるんで。そこもなんとなく拾ってくれたら嬉しいかな…っていう感じですかね。

『僕みたいな彫師って誰だよって。』って感じですよね。本当に調子に乗りました。僕みたいな彫り師は…パリピっすね。分かりやすく言うと、パリピ。パリピな彫り師って日本ではやっぱり少ないというか、職人気質な人が多いんですよね。そんな中で僕みたいな存在っていうのは浮くんですけど、海外に行くといるんですよね。

アーティスト全員が職人気質じゃないというか、クリエイターっぽい人もいるし、ビジネス的な彫師もいたり、いろんな彫師の形があるし、色んな彫師の形が受け入れられてるし、認められてると思う。僕自身は彫り師になるまでもパリピだし、彫り師になってもパリピだし。

諸先輩方にやっぱ怒られますけど、やることはやるっていうのは自分ルールとしてある。やる事って言ったらやっぱり絵を描くことだと思ってて。”絵”っていうのは、どうしても書いた分しか上手くならないものなんで。そこは僕も然りで、最初から今ぐらいのものが描けた訳ではないから。

それだけは勘違いしないで欲しいって思います。僕はあくまで努力を見せたくないだけなので。最近勘違いしている人もちらほら見ちゃうから、そこはそうじゃないよって知っといて欲しいかもしれませんね。

実際のところやっぱりひたむきに毎日努力を重ねてやらないと、上手い人達と肩を並べてご飯に行ったりとかタトゥー談義をしたりっていう所まで辿り着けないと思うんで。僕を普段から見てくれてる人で、タトゥーを学んでる人には分かってて欲しいかなって思います。

2021年の目標

僕もyoutubeチャンネルを開設していて、まだ数ヶ月しかやってないですけど、少しずつ見てくれる人も増えてきて。僕自身もっとそのチャンネルを大きくしたいなっていうのもあるし、今は長崎県にお店を構えてまして、二号店を東京の方に来年中に出したいなって思ってるので、それも目標の一つです。

どんどん覆したいですね、彫師の印象を。もっと覆したいです。もっと僕は色んなことやりたいし、もっと色んな所に出たいです。

もっと、”Talented(多才/有能)”でありたい。彫師というものを軸に、もっといろんなTalentedな活動がしたいと思います。

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