2019.11.25 / Social

海外の彫師から見た、日本の和彫りの印象|『日本の刺青は、他国のソレとは異質。』

『日本の和彫りは、世界で最も美しい芸術で—』なんて言葉を、タトゥーファンの方であれば一度は耳にしたことがあるだろう。確かに日本伝統の和彫りは、その歴史の長さをはじめ、他のスタイルと比較しても非常に深い文化背景を持つことは明白だろう。

しかし『海外のタトゥーを生業とする者』は、その日本の和彫りをどう捉え、何を感じているのだろうか。今回はフィンランドから日本にいらしたタトゥーアーティスト2名に取材をし、『日本の和彫りや環境』について何を感じているのかを取材し記事にしてみた。


では、自己紹介をお願いします。

Jarno(以下:J):名前はJarno(ヤルノ)。フィンランド生まれで、タトゥーアーティストしてる。
Taneli(以下:T):私はTaneli(タネリ)。彼と同じくフィンランド生まれで、タトゥーアーティストをしてる。二人ともヘルシンキにある、Tatuata(タトゥアータ)というタトゥースタジオで活動している。

タトゥーアーティストになった経緯は?

J:僕がタトゥーを始めたのは、14歳か15歳かそこらで。最初はハンドポーク(手彫り)からタトゥーを始めたんだ。当時はフィンランドでタトゥーマシンを入手するのが難しかったからね。だからタトゥーを彫りたいと思ったら、自分でタトゥーマシンを作るところから始めないといけなかったんだ。それもカセットプレーヤーに内蔵しているモーターから。そうやって、少しずつタトゥーを覚えていった。
T:彼はオールドスクールだね。私がタトゥーを始めたのはもう少し後の話だから、タトゥーマシンは手に入った。
J:そうだね。僕が始めたのは多分1995年だったと思うから。
T:私が始めたのは2001年だから、彼に比べると始めるのは遅かったね。タトゥーをはじめて18年、長い年月が過ぎたよ。

フィンランドにおけるタトゥーは、どういった位置付け?

J:前までは、タトゥーを入れている人は犯罪者や水夫だけだった。”前”っていうと大体…20~25年くらい前かな。当時、タトゥーはもっと厳しく扱われていたから、タトゥーがあると仕事に就くことが出来なかったよ。
T:例えば”銀行”とかなら、今でも難しいと思うよ。
J:確かにそうだね。ただ労働階級の普通の仕事であれば今は普通に働けるよ。
T:ああ、警察ですらタトゥーを入れてるもんな、今は。
J:今はね。
T:今は誰でもタトゥーを入れられる時代だ。
J:みんなタトゥーを入れてるね。今、タトゥーは昔に比べてずっと寛容だし、メインストリームだ。

フィンランドにおける、タトゥーの流行は?

J:今は世界のタトゥーの流行と、おおよそ同じだと思う。例えば…ジオメトリックとか、ブラックワーク・ラインワークとか、そういう感じのタトゥーが流行ってるね。
T:私が思うに、”クラシック”なタトゥースタイルはフィンランドで流行していないし、和彫りもきっと、フィンランドでは流行らない。
J:でも、和彫りの人気は高いけどね。
T:ああ、確かに人気だ。
J:みんなとても興味を持ってるし、それとアメリカントラディショナルも…
T:確かに流行ってたな、”数年前”までは。セーラー・ジェリーや、エド・ハーディーのタトゥーみたいな。でも、今は流行っていない。今は、トラディショナルタトゥーを入れたがる人も、欲しいのは”トラディショナル風”だ。アメリカントラディショナルはもう流行っていない。

Jarnoの作品

日本の和彫りについてどう思いますか?

J:日本の和彫りを一言で表すのは難しいけど、1つ言えることは、素晴らしい文化で、長く興味深い歴史があって、もっともっと学んでいきたい刺青文化だね。大阪の彫つな氏のおかげで、”本物の刺青”を見てきたけど、日本の和彫りは、他の国々でやっている”ソレ”とは明らかに異質だね。ヨーロッパとか、アメリカの刺青は”和柄のソレ”だ。
T:例えば、龍や鯉のモチーフはヨーロッパでも人気が高いが、本物の”龍・鯉”を彫ろうと思うと、モチーフそのものや、形、その文化などの様々なルーツへの理解が多く必要になってくる。
J:それも、一生涯かけてね。
T:勉強の毎日だよ。

和彫りで好きなモチーフは?

J:そうだね、僕は龍が一番興味深いけど、一番難しいモチーフだと思うね。
T:ああ、私も同じだ。龍を彫る時はいつも”チャレンジ”だな。
J:彫り始めるときはいつもワクワクしてるけど、終わった後に満足いくかどうかは、全くの別問題だ。でも、『Good Artist.』って言ってくれるよね。そこまでGoodじゃなくても。毎回、それ以上にうまく…
T:いや、ヤルノの龍はいつもGoodさ。
J:いや、君の龍の方がGoodだね(笑)

Taneliの作品

日本で、医師免許を持たずにタトゥーの施術をすることが、違法であることはどう思いますか?

J:正直な意見としては、日本の刺青が始まった時、中には”社会”に対して反抗する者が多くいたはずだ。
T:ああ、”支配階級”に対してな。
J:そう。そんなの、気にしないね。フィンランドにいる時ですら、タトゥーが違法か合法かなんて大して気にしていないからね。それに、僕らは海賊彫師だ。法や政府か何て言ったって、僕らはタトゥーをやるよ。
T:アウトローなものだからな。
J:そうそう。

では、最後に日本のタトゥーファンに一言いただけますか?

J:”Stay real and stay traditional. ”(伝統的で、リアルであれ。)
T:”Don’t forget traditional. You have the richest tattoo culture in the world.”(伝統を忘れるな。日本の皆さんは最も崇高な刺青文化を持っているんだ。世界のどこよりもね。)

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