全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー
2019.11.15 / Tattoo YOUR TATTOO

全身のタトゥーで体現する《刺青・百鬼夜行》 |YOUR TATTOO・イオさん(31)#28

街中で、服屋さんで、バーや居酒屋、ライブハウスで。
様々なシーンでタトゥーを目にすることが、増えてきたように感じられます。

タトゥーは一生消えないものとして認知されていますが、その1つ1つに持ち主の確固たる想いが込められています。
もし話しかけられるのであれば、そのタトゥーにはどんな想いが込められているのか、またどんな人柄で、どんなお仕事をしているのか聞いてみたいものですよね。

「YOUR TATTOO」は、タトゥーの持ち主の人柄や人生を「タトゥーを通して知ってみる」。
そんなDOTTの連載企画です。


イオさん|全身のタトゥー・刺青を取材

では、自己紹介をお願いします。

名前は針本イオです。年齢が31歳。今は大阪に住んでいます。苗字に漢字の”針”が入っているっていうのは、自分では良いなと思ってます。

タトゥーに興味を持った経緯は?

最初にタトゥーに興味をもったのは、16歳くらいの頃です。『BURST』って雑誌があって、書店で見たときに衝撃を受けタトゥーを意識し出したというか。当時のBURSTは過激な内容が多く、全身タトゥーの人だったり身体改造の特集だったり…《タトゥー・ピアス・身体改造》って感じで。衝撃を受けて『うわ、すごいなぁ。自分もそんな風になれたらなぁ…。』ぐらいの感じに思ってましたね。

イオさん|全身のタトゥー・刺青を取材

その後、ファーストタトゥーを?

当時は若かったので入れれなく、法律・条例で決まってる年齢になった瞬間にファーストタトゥーを入れにいきましたね。ただ最初は、刺青をがっつり入れる覚悟はかったので、見えない部位で考えていて。一番見えないところで唇の裏に。見せようとしない限りは見えない場所だったので、初めてタトゥーを入れたときは『こんなものか…。』みたいな感覚でしたね。

その後、次に彫りに行ったときに五代目彫重さんのところに行き始めて…五代目彫重さんに2回目を彫ってもらう際には、『全身いくと思うんで…』って話をして。そこからはもう全身のタトゥーを考えていましたね。

では、タトゥー・刺青についてお聞かせ下さい。

自分の好きな『妖怪・鬼』などの、日本伝統的なモチーフのオーダーに、全身を額でまとめてもらっています。

全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

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全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

右腕は一本、全て妖怪を入れていて…左腕は伝統的な能面が分裂してだんだん進化していくような図です。少しマニアックな話なんですが、『《小面(こおもて)》っていう無表情の面から、面の女性が嫉妬に狂ってくさま』を表現していて。最後には般若の一歩手前の《生成(なまなり)》まで怒っていくっていう図です。

全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

背中と正面に関しては大きめに鬼が入っていたり。小さな鬼が集合して大きな一体の鬼になっている絵です。昔の絵でそういうのがあるんですけど、それを見たときに鬼の親玉感に『すごい、格好いいなぁ。』って。

全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

足は小鬼が何匹も入っていて、宴会していたり囲碁をしていたり。雨乞いをしてたりお酒を飲んでいたり…鬼が自由にしているところを入れましたね。

全身を通して鬼・妖怪が多く《百鬼夜行》を全身で出来たらいいなぁって思ってたりして。なるべく妖怪とか鬼に拘って、身体で百鬼を表現できたらいいなと思っています。

全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

脇の下には男性器と女性器の《幽霊画》が入ってます。

伝統的な和彫りの中には《隠し彫り》という脇の下などに、春画的なものを入れたりする文化があって。それを聞いた時に『自分もそれやってみたいな。』と思い、ストレートなんですけど大きめの男性器と大きめの女性器の幽霊を入れました。

素晴らしいです。そもそもどうして妖怪がお好きで?

小さい頃親が漫画が好きで。水木しげるの鬼太郎であったり、妖怪がたくさん出てくる漫画が家の本棚にあったので、それを昔から読んでは魅力を感じていました。実在するものよりかは、幻想的な世界感にインスピレーションを受けていたので…それで妖怪にしようって感じですね。

なるほど、ありがとうございます。

頭も《大蛸(おおだこ)》って蛸の妖怪と、カラスの妖怪が戦っているって図が入っています。スキンヘッドにして、全部埋まるように…入れてもらいました。

全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

すごいですね……顔のタトゥーは?

顔は、自分の好きな服の柄であったり、そこからインスピレーションを受けて入れたタトゥーが多いですね。

特にゴキブリは、普段から好きな《BUTT STAIN!》ってブランドにゴキブリ柄の服っていうのがあって。人から嫌われているであろうゴキブリを、服のデザインとして落とし込んだところに衝撃を受け、すごく好きになって。ここまで好きだったら『服を着るより、タトゥーとして入れて自分の一部にする。』っていう考えです。

イオさん|顔のタトゥー

あとは顔にゴキブリが入っていると結構インパクトもあり、皆の印象にも残りやすいかなって。今では自分の代名詞になっていますね。

なるほどです。

目尻のタトゥーは、自分の中でも唯一意味のあるタトゥーかなって思ってるんですが、《鎌八幡》って『縁切りの神社』があって、その神社のマークです。そこのご神木?には『大きな木の幹に、鎌を刺すことで悪縁を供養する。』というしきたりがあり、木に沢山の鎌が突き刺さっている衝撃的な神社で。

今まで意味のあるタトゥーを考えて彫ったことがなかったので、1つくらい意味のあるものを…と思い、入れてみました。自分もこの見た目なので、色々なことも起こるでしょうし、人生が楽しい方向に向いているように。『悪縁をたち、良縁を運んでくる。』という鎌八幡の意味のままです。


全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

ではいくつか質問をさせて下さい。タトゥーが入っていて困ったご経験は?

困ったことに関しては、特に無いです。タトゥーを入れて、仕事など多少は自分の人生が狭くなったりはしますが、それも覚悟の上で入れているので。

では、逆に良かったことは?

タトゥーを入れてて良かったことは、タトゥーを通して『タトゥーの好きな人やタトゥーに興味のある人と広く繋がれた。』ってことですかね。海外にもよく行くんですが、行った先で現地の方がフレンドリーに話しかけてくれたり。タトゥーを通して異文化交流や、世界に出てもコミュニケーションがとりやすくなったり、人付き合いが昔より出来るようになりましたね。


全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

タトゥーと今の社会についてはどう思いますか?

日本に置けるタトゥー・刺青の現状は依然として閉鎖的で、タトゥーがNGの場所・サービスなども多いですが、それに関しては規制自体はなくならなくても良いかなって。規少なくなればいいとは思いますけど。それも全部含んだ上でここまで刺青を入れているので、それは元からあるものを変えてくれだとかは思わないですね。

タトゥーを入れている人が増えていくのは良いと思いますけど、どうしても日本の社会においては、まだ厳しい目を向けられる現状があるとは思うので。『もっとタトゥー入れなよ!入れたらいいのに。』とかはあんまり思ってないです。

タトゥーはファッション?アングラ?

実際、『タトゥー=悪』のイメージが強いかなとは思うんですけど、確かに日陰の文化っていうのが根強くあるので。アングラはアングラでそのままでいいと思いますし、ファッションとして入れるにしても、アングラとして入れるにしても、結局は本人が刺青に対してどう思えるかっていうところだと思うんですよね。

ファッションとして入れていても、アングラとして入れていても、結局根本的に、自分の彫っている刺青が好きかどうか。そういう部分じゃ無いかなって思います。

全身の妖怪・和彫り|刺青・タトゥー

イオさんにとっての『タトゥー』とは?

自分にとっての『タトゥー』は、『人生を賭けた遊び』だと思っています。やっぱり人生は一度きりで、長いようで短いので、いかに好きなことができるか、楽しく人生を過ごせるか。自分の中では、タトゥーを入れることが人生における楽しみかなって思ってるので、それを人生を賭けてやっているって感じですかね。

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今後、タトゥーはどう楽しむ予定ですか?

初めて19歳の頃にタトゥーを入れてから、今まで12年ほど入れ続けて…。今日で身体の刺青・色入れまで全て終わる感じにはなります。が、まだ身体の中に”肌色の部分”は細々とあるんで、そこを埋めていきたいなぁと。

自分の肌色の部分を、今は少し”ちょっと恥ずかしい”みたいに思っちゃてて。その部分をインクで埋めていきたいなって思ってます。やっぱり、もっともっと入れれる部分あればもっと入れたいなって。タトゥーを入れれる楽しみは本当に最後の最後までやっていきたいかなっていう風に思ってます。

イオさん|全身のタトゥー・刺青を取材

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