刺青・和彫りとヤクザ(九紋龍)
2021.1.19 / Tattoo

現役ヤクザ2名が語る、ヤクザ業界と刺青。

現役のヤクザのお二方は顔出しNG及び、A/Bさんの仮名で記載させて頂きます。(お知り合いの”カタギ”の方はCさん。)

刺青との出会い

刺青に興味を持った経緯、きっかけは?
Aさん:一番最初は20歳の時、いや19の時ですか。その彫り師の絵が上手いかどうかを判断するために、足から入れました。それである日 突然ヤクザになって。ヤクザになった後から、場面とノリで全身までいれた感じです。

刺青・和彫りとヤクザ(九紋龍)

周りの(ヤクザ)方々に刺青をいれている人が多くて”良く見えた”とか…?
Aさん:多分それが一番強いと思います。周りに刺青をいれている人が多くて、「あ、いいな。」って思っていました。

Cさん:周りから「お前もいれろや」みたいなことを言われることはないの?

Aさん:それはなかったです。一部ありますけど、そんな多くは無かったです。

Bさん:自分の場合は最初に、20歳の時に友達が(刺青を)いれ始めて。それまでは全然(刺青に)興味なかった。
でも友人の龍の刺青がすごく綺麗で。「どこでいれてんの?」っていう話から 「Bも一緒に行ってみる?」って言われて、興味本位で見に行った。先生が描いた絵をずっと見ていたら、 衝撃を受けたんです。結婚相手に出会った時とか、よく電気が走るって言うでしょ、本当にそれと一緒。
”これだったらいれてみよう”って思って、いれたのが初めてかな。

刺青・和彫りとヤクザ(総身彫)

当時(約20年前)、刺青業界はどの様な感じでしたか?

Aさん:「刺青は人に見せるもんじゃない、ファッションで入れるなら辞めるべきだ。」っていうのは、周りの風潮や意見としてありました。世間一般はどうか分かりません。ただ、その当時はあんまり(刺青を)出して歩いてる人はいなかったかな。

刺青の絵柄について

様々な和彫りの絵柄がある中で、九紋龍を選ばれた理由は?
Aさん:水滸伝という話の中で、一番最初に出てくる人物が九紋龍(史進)という人物で。龍を全身に巻いていて、親父の提案で「それいいな」っていう話になって。まだ刺青をいれる痛みも、何も分からない状態で、自分も「はい、分かりました」って返事をしました。

刺青・和彫りとヤクザ(九紋龍)

いれる前、上にあたるヤクザの方に相談はされるんですか?
Aさん:そうですね、上の人に相談したら色んな提案が出てきたんです。「どこまでいれたいの?」「自分は足と腕と背中だけでいいです」…その会話で(胸〜腕と背中〜足)に決まりました。
ただ、そこから刺青を入れにいき、最初に腕に入れた時に「腕の筋 痛いな…。」って話したら、

「前までいれてしまえば?」って言われて「分かりました、痛みも余裕なんでそうします。」って言ったんですよ。それで自分は前(胸割り)まで彫り進めました。

Bさん:なかなか本人の意見って取り入れてもらえないもんだからね
本人は「この絵柄がいれたい!」って言っても、基本的にそれがメインではあるけど「こっちはこれがいいよ。」って周りが言ってるうちに、気付けば決まっていることが多い。
でもそれは周りの優しさ。強制じゃなくて「絶対こっちの方がかっこいいよ!」って助言をくれている感じ。刺青に関しては、周りの人が先輩だから。

自分の場合は最初、衝撃を受けたのが《桃太郎の鬼退治》で、筋彫りの段階で彫り師の具合が悪くなってしまって。
そこである彫師に出会って。「どうせだったら背中も筋引っ張っちゃえば?」って最終的に少しずつ増えていった感じです。

刺青・和彫りとヤクザ(総身彫)

彫り師を選ぶ際は、どういう流れがメジャーですか?基本的には紹介とか?
Bさん:やっぱり人の紹介が多いんじゃないかな。俺達の周りは、自分でHPを見て…とかはあんまりないかもしれない。

”懲役と刺青”について

懲役いくと刺青いれたくなったりするって本当ですか?

Bさん:ああ、確かに。懲役にいった時に刺青が仕上がってないと少し格好悪いかもしれない。刑務所内で「ああ、あいつは仕上がってんな。」とか。
刑務官もそういう目で見るから、仕上がってなくても刺青の数が多いと見られ方が違う。「よく我慢したな。」っていう。

Cさん:そうだね、「筋通ってんな。」とか「ちゃんとした人なんだな。」とかいう見られ方をする。

刺青・和彫りとヤクザ(総身彫)

”ヤクザ”としてお仕事されている上で、刺青が有利・不利に働いたことは?例えば、警察官との絡みが面倒になる事が多かったり、相手にする人間によっては”嘗められなくなる”であったり。

Bさん:こんな季節なのに長袖着ていなくてはいけないし、刺青が良いことに働くことは基本的に全くない。仕事っていう仕事は俺達にはないから、人を紹介してもらう時も「なんであの人、長袖長ズボンなのかな?」って所が目に付くから。そこで「いやちょっと今回は…」ってなる場合の方が多い。

Aさん:ないですよね、全くっていうほど。だから無難なのはスーツ着ることですが、スーツを着ると「怖い」って言われるので、あんまりスーツは着ない様にしています。

普段は刺青が見えない様な服装という感じですか?
Bさん:そうですね、立ってたら(刺青)見えないでしょ?誰かに会ってご飯食べなきゃいけない時は、こんな格好では行かない。

刺青・和彫りとヤクザ(総身彫)

基本的には、長袖ですか?
Aさん:長袖ですね。
Bさん:自分も基本的には長袖で、半袖の時はサポーターつけてます。刺青を出すことはないですね。なんか威圧してるみたいになってしまうのが嫌で。我々からすれば威圧してるつもりはないし、外でお店にも迷惑かかってしまうのも嫌なので。

刺青・和彫りとヤクザ(九紋龍)

ヤクザの方で、刺青を見せて歩く方もいらっしゃるんですか?
Aさん:いるんじゃない?
Bさん:いますよね。ウチ(の組)にはいないけど。出して歩いている組もいるし、それはそれでそういうスタイルだから、別にいいんじゃないかな。

刺青・和彫りとヤクザ(九紋龍)

組によっては、刺青に関する決まり事があったりするもんなんですか?
Aさん:ウチの組はフリーだね。何をいれても構わないし、逆にいれてない人もいる。「ヤクザの世界にはいったから刺青をいれなきゃいけない」とかは、ウチはないかな。
Cさん:時には、組の家紋をいれてたりとか。でもそれは”カタギ”の感覚ではないから、独特だね。

そういったことはよくあるんですか?
Bさん:うん、あるある。親(親父)の名前の刺青をいれてみたり。ウチの若い子でも、事務所の名前をいれてる子もいる。忠誠心じゃないかな?後は、意思表明じゃないけど。いれてると「他の奴より気合はいってるでしょ、親分。」みたいなのも無きにしも非ずかもしれないね。

でも刺青って一生背負うものだから、名前とかいれると”潰れちゃう人”もいて。その人の名前が強すぎるから、その人の人生まで背負うことになる。「だからいれるな。」って俺は言うんだけど。
例えば”虎は檻にはいってるから縁起が悪い”って思われてて。だから結構虎いれてる人は(刑務所に)出たり入ったりしてる。でも(代紋をいれたら)ことごとく皆いなくなってる。

刺青・和彫りとヤクザ(総身彫)

刺青のいれ方が変わってきていると感じることはありますか?
Bさん:いれ方は変わってきたんじゃない?昔の人っていうのは”ガマン(刺青)を覚えてなんぼ”じゃないけど、そういう風に言われた人の方が多かったと思う。今はファッションでいれる人も多いから、見える所だけにしかいれない人もいる。

刺青というものが、偏見をもたれていることについて
Bさん:偏見をもたれるって言っても、これは日本の伝統文化だから。偏見をもたれるのは構わない、仕方ないから。”タトゥー”は良くて何で”和彫り”はダメなんだって疑問には思う。そういった差別的な側面は理解し難いかな。

刺青・和彫りとヤクザ(総身彫)

和彫りの見え方とか、ありますもんね。
Bさん:『和彫り=ヤクザ』とか、そういうイコールで繋げられると困る人もいると思う。刺青のルーツは基本的に我々ヤクザじゃない。
鳶職人がいれてたのが始まりで、カタギの人から始まってるでしょ?偏見は時代だから、しょうがないんじゃないかなっていう風には思うけど生きづらいっちゃ、生きづらい。

Cさん:でも刺青を”脅迫の道具”に使ってた時代とか地域もあったよね。”ヤクザ”って言わずに怖さを見せつけるために(刺青を)チラつかせるみたいな。それで言うと昔、”ベンツ・刺青・パンチパーマ”がヤクザの三種の神器みたいな時代もあったから。

Aさん:そうですね、いれるんだったらこれからの若い人達には、粋ないれ方をしてもらいたいかなと思います。

刺青・和彫りとヤクザ(九紋龍)

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