2018.9.19 / Artist フリーハンドタトゥー取材@名古屋|GENKO氏の卓越した技術に迫る

あなたはフリーハンドタトゥーをご存知だろうか?
ステンシル(転写)を使用せずに肌に直接下絵を描いて彫る、ダイナミックで高い技術を要するタトゥーイングの方法である。

今回は、フリーハンドタトゥーの先駆者の一人、GENKO氏のタトゥーイングを取材してきたため、DOTTにて公開しよう。
世界的評価も非常に高いGENKO氏だが、根底には「お客さんの事を第一に考える」、という精神が垣間見えた取材であった。

GENKO

経歴

GENKO氏は名古屋・大須で活動する、タトゥーアーティストである。
1998年にタトゥーを始め、タトゥー歴は20年。

繊細なライン使いと鮮やかな色使い、枠にとらわれないダイナミックな作品から世界的な評価も非常に高く、ロンドンやミラノ、ベルリンといった海外のタトゥーコンベンションで数々の賞を総嘗めに。

国内外問わず、各地のタトゥーメディアで彼の作品を表紙に飾ることも多く、日本を代表するタトゥーアーティストの一人だと言えるだろう。

フリーハンドタトゥー

そしてGENKO氏の最大の特徴は、そのタトゥースタイル。
「フリーハンドタトゥー」と呼ばれ、その名の通り転写を用いずに肌に直接下絵を描いていく手法をGENKOは用いている。

日本にフリーハンドタトゥーを広めたのは名古屋だとされており、GENKO氏はその先駆者の一人でもある。
フリーハンドの長所や流れについては、記事後半にGENKO氏の言葉も織り交ぜてご紹介しているため、最後まで読んでいただきたい。

作品集

スタジオ情報

アーティスト GENKO
Instagram genkotattoostudio
スタジオ GENKO TATTOO STUIDO
メール info@genko-tattoo.com
電話 052-203-2520
住所 名古屋市中区大須2-3-7
営業時間 10:00〜20:00(不定休)

タトゥーイング取材

ではここからは筆者が取材した、GENKO氏のタトゥー施術の流れをご紹介していこう。
開始から終了まで一度も目を離すことが出来ないほど、圧巻のタトゥーイングを体感できた貴重な一日であった。

そして以前に、右足にGENKO氏の作品入れてもらったお客さんが来店。
30分ほど談笑を行い、施術は始まった。

カウンセリング

「―スカルとイーグル。これを左腕に、バイクに乗ったときにカッコ良い感じで。」

お客さんからの最初の要望は以上だ。
「―ドクロの上にイーグル?」
「それ、めっちゃカッコイイね。」
「コブラとかもいいんじゃない?」と、対話形式でカウンセリングは進んでいく。

GENKO氏の施術の流れは、施術部の写真を印刷し、写真の上から絵を描いてイメージを膨らませることから始まる。
ここでお客さんの要望を最大限に落とし込み、理想のデザインを可視化していく。

通常は作品をオーダーしてから、下絵を準備しておくスタジオが多い。
当日に絵を初めて見せ、「これでどう?」で、施術。
といった流れがメジャーではあるが、GENKO氏のカウンセリングはより相互的で、ライブ感に長けている。

デザインはどこから出てくるのですか?
「―デザインはどうやってるかってよく聞かれてるけど、そんなの無いもんね。
お客さんの言うことを聞いて、描いてるだけだから。本当それだけ。
どんな作品も全て、お客さんの方から突き上げてくれたものを形に出来るのが、僕の能力ってだけなので。」

カウンセリング終了

お客さんの思い描いているものを最大限に引き出し、GENKO氏の中でイメージが固まればカウンセリングは終了だ。

見て分かる通り、この絵は特に下書きではない。
GENKO氏曰く、絵はただの材料の一つで、文章だけを元にフリーハンドを進めることもあるという。

これで、タトゥーに落とし込めるって凄すぎませんか。
「―何が凄いかって、これでOK出しちゃうお客さんが凄いね。
俺だったらもうちょっと描いてよって言っちゃうもん(笑)

今回は絵だけど、まとまらないときは「これは現場だね」って、そのまま下書きに入ることも珍しくないよ。」

フリーハンドの下絵

施術スペースに入り、ここからいよいよフリーハンドでの下絵描きが始まる。

大まかな場所取りを始め、全体のバランスを意識する。
この段階ではデザインが明確に決まっているわけではなく、「ツノ、こんな感じどう?」など、お客さんのイメージを確認しながら下絵は進んでいく。

軽快に口笛を吹きながら、時には笑い話で盛り上がりながら。
お客さんが楽しい時を過ごしながら、作品を完成させていくのがGENKO氏のスタイルだ。

下絵の完成に近づいた頃、お客さんから「スカルに牙とか入れてもらえますか?」と意見があった。
「それもイイかも」と、すでに書き上がっていた部分を消し、お客さんの意見を全面的に取り入れる。

「―こうやってお客さんと作品を完成させていくのが、何より一番楽しいね。」と微笑み、続いてGENKO氏はこう語る。

「―作品を創り上げるのはお客さんとの共同作業。
自分だけでは分からない、見つけられないものを一緒に見つけてくれるから。

限界を伸ばすのもお客さんだし、新しいネタを考えてくれるのもお客さんだな、って思うね。」

下絵の完成

そうしてフリーハンドで完成した下絵がこちら。
直接肌に描きあげたとは思えないほど、全体のバランスがよく取れた、とても綺麗な下絵である。

ステンシルを使わず、フリーハンドで行う最大の理由はなんですか?
「―転写だとぴったり合わないからね、身体に。
合わせようとすると膨大な時間と手間がかかるし、面倒臭い。
それより、お客さんと「どうしたい?」って話しながら描いた方が、よりその人が望む作品を彫ることが出来るね。」

タトゥーイング

フリーハンドの下絵が完成すると、続いてタトゥーイングが始まった。

GENKO氏のタトゥーマシンはコイル(マグネット)のタイプで、フットペダルが存在しない珍しいセットだ。
そのため一度動き出した手とマシンは、文字通り止まる事なく綺麗で均一なラインを引いていく。

「お客さんがなるべく痛くないように」と無駄と迷いのないタトゥーイングには、アーティストとしての20年のキャリアを感じずにはいられない。

しかしお客さんとの会話を忘れず、タトゥーイングでも楽しい時間を過ごしてもらうのがGENKO氏のスタイル。
お客さんの趣味の話や、タトゥー業界の話で盛り上がっているとあっという間に筋彫りは完成した。

ラインの完成

「―これだとバイクで見えたときに、めっちゃカッコイイですね。」
お客さんは、半袖から見えるスカルと雄々しいイーグルに、とても満足気な様子だ。

スカル・イーグル・コブラの三種のモチーフが織り交ざった一つの作品は、どの角度から見えてもクールに見えるよう、計算され尽くされている。
さらに要所では、ラインの太さを調節し、あくまで作品の手書き感を大切にしているという。

今回のセッションはラインで終了だが、また次回からシェイディングやカラーが進んでいくため、完成次第こちらでも公開予定だ。

最後に・まとめ

最後に、インタビュー時に聞いた「初めてタトゥーを入れたい人へ向けて」という質問の、GENKO氏の回答をもって、本記事は締めくくりたいと思う。

これからタトゥーを入れようとしている人へ、何かGENKOさんから意見はありますか?
「―タトゥーは、もの凄く生活に不必要なものなので出来れば辞めておいた方がいいと思うよ(笑)
今日日、良いことは一個も無いと思ったほうがいい。

でももし、やるって決めたんなら、ちゃんとした人を選ぶことが一番大事。
タトゥーって、一生残るものだからね。

ネットで調べて「この人いいな!」で、メール・電話して予約じゃなくて、とにかくその人に絶対に会いに行ったほうが良い。
そこで話が通じる人だとか、スタジオは大丈夫なところだとか、判断することが大切だね。
安易に便利なツールで事を済ませようとすると、いつか絶対に失敗するよ。

うちに初めての人から予約の電話がかかったりしても、一度お店に呼ぶことにしてる。
「一回来て、それで決めたら良いから。うち来なよ。」って。

何より、自分の身を守るために、ね。」

KeyWords

POPULAR