西成・あいりん地区は、今も多くの路上生活者が住んでおられたり、元ヤクザ・暴力団関係者がいたり、犯罪者の逃げ場になったり、過去に大きな暴動が起こったり…これらのことから《日本唯一のスラム街》とも呼ばれている。
現在では海外旅行客が宿泊のため足を運んだり、ある種の観光地化も捗ったおかげか以前ほど治安が荒れてはいないが、依然としてその名残りは随所で感じられる。
今回はタイトルの通りだが、筆者が実際に西成・あいりん地区へ足を運び、元ヤクザのSさんから伺った、当時の刺青・タトゥーについての話を綴っていきたい。
ConTTents
はじめに
今回は動画版とWEB記事版の２本です。動画のご視聴は下記をご覧下さい。
※音声が聞き辛い箇所があります、Youtubeのメニューより【字幕ON】を推奨。
注意点
本動画及び記事は、元ヤクザのSさん、お店『おもに』に取材の概要のご説明をし、双方に撮影・音声収録の許可を頂いて取材を行なっております。
今回は様々な事前知識や事前準備、かつ最大限の安全への配慮を行って撮影をしております。西成・あいりん地区でカメラやビデオを回すことは基本的に良しとはされておらず、安易に真似した場合には危険を招く恐れがあります。
元ヤクザ Sさんの刺青事情
Sさんは、実際にもともとヤクザを？
そうや、やってたよ。前科13犯、懲役28年や。
俺は中学２年から博打場で台引いたり、モク（？）置いたり、座布団並べたりしよった。その時代はオムライスなんか、喫茶店で食うても280円くらいの時代や。それとコーヒー飲まして貰って、風呂入れてもらうのが日課。3人で5000円しかくれへんかった。
今は何もしてへん、フラフラ酒飲んでるだけや。
初めて刺青を入れたのは？
16や。はじめは自分で腕に絵描いたんや。ほんで兄貴分に突いてもろた。これ突いたら「こんな刺青入れるんちゃうわ」思ったんや。
ほんで、プロの彫師が俺の同級生の兄貴におったんや。その人は頭から全身入ってて。『Sちゃん、そんな刺青入ってたらあかんわ、俺突いたるから、来い。』言うて、ほんで突いてもうた。
ヤクザなるならへん関係あらへん、墨が好きやったから。右腕にちょろっと、左腕にちょろっと。背中にちょろっと、龍・虎・鯉。全部、威勢が良いやろ。
背中の鯉は、喧嘩して斬られたんや。見たらわかるけど、40cmくらいやられたんや、喧嘩で。
当時はどんな人が刺青を？
そらヤクザやろ、ヤクザか…この街やったら鳶職や。まぁ威勢のいい仕事してる人らやな。
俺は安かったでこれ、片かいな35000円や。当時、16歳で今62歳やから、何年前や？その時代はそうやったんや、今もう40万50万するがな。ココ（九分）まで行こうと思ったら。
Sさんは自分の刺青は好きですか？
刑務所に長くいたため、まだ完成していないとのこと。
好きていうか…好き…好きでないわな。まぁ、もう入れてもうたもんはしゃあないやろ。
他人に無いモンしとんねんから、入れた一時は強くなったような気がするだけ、全然強なってないけど。自分（取材者）も思ったやろ？
刺青いれたら自分が強くなったような気、せんかったか？せやけど、刺青入れたからゆうて人間変わらへんねんで。気の弱いやつは弱い、強いやつは強い。刺青でそんなん左右されたら、人間、みな刺青入れるわ。
刺青のせいで困ったことは？
別にあらへんなあ、西成おったら。この街はみんな入れとるもん。指の無いモンとかや、多いよ。まぁ色々おるわな。
最近のタトゥー・刺青について
（タトゥー・刺青の）裁判あったなぁ。せやけど、別に…日本の伝統やからなぁ。昔は着流しきてなぁ『粋な者ちゃん、片かいな。』て、片かいな入れてヤクザが歩いとった時代があったんや。
今は誰でも、女でも入れとるけどな。せやけど女が入れたらあかん。結婚して子供ができたらな、いろんな面でマイナスや。自分（取材者）も身体汚しとったら、嫁を貰う時に、嫁の親が見たら、ええ印象与えへんで。
嫁はんの親に身内がおってみ、『なんであんな子と一緒になったんや。』って。何かにつけてハンデ背負うわ、プラスになることないやろ。
せやから俺に言わせたら、『親からもろた大事な身体な、墨で汚したらあかん。』言うことや。『白い身体で生まれてきたんやったら白い身体で死ね』や。
歌でもあるやろ？高倉健のB面やけど『—親に貰った大事な肌を 墨で汚して白刃の下で 何と詫びよう 母親に』…あるやん。刺青入れても便利悪いがな。入れたからって誰も金くれへんで？
若い子は半袖きて刺青出してるけど、行くとこいったら長袖で隠さなあかんやろ？何かにつけて便利悪い。白い身体やったらそのまま行けるけど。
俺今62やけど、50歳まで親に言われた。『お前はアホや、アホや。』って。
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Aira
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