空前のタトゥーブームに伴い、街中でも和彫りやトライバル、ブラックアンドグレー等の様々なタトゥー・刺青を見ることが多くなった。
多様なスタイルの中でも、オールドスクールを始めとするトラッド系のタトゥースタイルは著しい進化を遂げ、急激にスタイルの幅は広がっている。
そこで今回DOTTでは、アメリカのタトゥー歴史に始まり、オールドスクールタトゥーの父と称される、セーラー・ジェリーについてご紹介をしよう。
彼の経歴や功績は勿論、タトゥーフラッシュも何点か載せているため是非ご覧いただきたい。
ConTTents
アメリカのタトゥー
オールドスクールタトゥー
オールドスクール(アメリカントラディショナル)は数在るタトゥースタイルの一つで、老若男女、世界中で親しまれているタトゥースタイルの一つである。
モチーフに対し太めのアウトライン、独特な陰陽のつけ方、色鮮やかな配色のタトゥーを一度は目にしたことがあるのではないだろうか。
セーラー・ジェリー
このオールドスクールタトゥーを、現代に通ずるタトゥースタイルとして確立したのが、”セーラー・ジェリー”だと言われいている。
※発祥はイギリスやアメリカなど諸説あり。
セーラー・ジェリーについては後ほど、詳しくご紹介をしよう。
オールドスクールタトゥーの歴史
タトゥーや刺青の歴史を語りだすとアイスマンの時代まで遡ってしまうため、筆者としても正確に綴ることは難しい。
ただ言えるのは、残っている文献でオールドスクールタトゥーの歴史を語るならば、”水夫(船乗り)”とは親密な関係にあるということだ。
かつてアメリカでは、サーカスでパフォーマンスの一貫としてタトゥーが好まれていた歴史があるが、現代に通ずるようなタトゥーの文化の基盤が築かれたのは1900年初期からだろう。
水夫達が海原を航海をする大航海時代、アメリカでタトゥーを入れる者が最も多かったのは水夫だとされている。
それは、タトゥーのマシンを開発し特許を取得した、”サミュエル・オーレイリー”が
「タトゥーの入っていない水夫は、航海できない船みたいなものだ」なんて言葉を残す程である。
当時、水夫にとってタトゥーは記念・ファッション、御守の意味として無くてはならないものであったのだ。
その1900年代に活動をしていた”伝説”と称されるアーティストは数名いるが、中でも大きな影響を与えたのは”エド・ハーディ”と、その師匠の”セイラー・ジェリー”だろう。
エド・ハーディについてはまた別記事で詳しくご紹介したいため、今回はセイラージェリーの経歴やタトゥー業界に残した功績、デザインなどについて書こう。
セーラー・ジェリー
経歴
セーラー・ジェリー(ノーマン“セーラー・ジェリー”コリンズ)は1911年にアメリカのネバダ州にて出生、1973年にハワイで逝去。
彼はタトゥーアーティストとして業界に様々な革新を起こし、”オールドスクールタトゥーの父”として現代まで語り継がれている。
物心がついたときから、「自分は人に敷かれたレールを進む人間ではない」と自覚していた彼は、1920年代後半にタトゥーイングの道へと進む。
当時10代の彼は、貨物列車に揺られながら、米国中の様々な人々にタトゥーを彫っていきタトゥーへとのめり込んでいったのだ。
その後は海軍に入軍し、世界中を船で渡り歩きながら水夫達にタトゥーを施し、退軍後はハワイ・ホノルルに念願のタトゥースタジオをオープンしたのである。
当時から彼のタトゥーアーティストとしてに評価は非常に高く、ホノルルに停泊した水夫達が彼のスタジオの前に行列を作るほどだった。
セーラー・ジェリーの功績
彼は現代のタトゥー業界にも影響を与えるほど非常に大きな功績を残した人物の一人だ。
ここでは彼の功績を、分かりやすく何点かご紹介しよう。
新色インクの開発
例えば今でこそ簡単に目にする紫色のインクだが、1900初期、当時は存在しない色味の一つだったが、セーラー・ジェリーが開発に携わり、紫インクが世界で初めて完成した。
色味が少なかった当時、その他様々な色のインクを生み出し、タトゥー業界に多様性を与えた。
衛生基準の向上
また衛生管理が行き届いていなかった当時だったが、殺菌技術の研究に携わり、タトゥー業界の衛生基準を底上げしたのも彼の功績だと言えるだろう。
その他、現代に通ずるタトゥーマシンの構成を行ったり、彼の讃えるべき功績は沢山あるのだが、それはタトゥーのデザインの分野でも同様に言える。
タトゥーフラッシュ
それでは、彼の残したタトゥーフラッシュを何点かご紹介しよう。
彼のシンプルでポップ、そしてユーモアに富んだ作品の数々は、日本を含む世界中のタトゥーアーティストに多大な影響を与えているといえるだろう。
※タトゥーフラッシュとはタトゥーになる前の”絵”のこと。
今でこそカスタムオーダーのタトゥーが主流だが、当時は壁に貼られたタトゥーフラッシュから自身のタトゥーを選ぶ、というようなシステムが一般的であった。
セーラー・ジェリーの作品
番外編
セーラー・ジェリーに関することで、タトゥーが好きな人間にとっては非常に嬉しく、面白いイベントを都内のスタジオで行っていたので、DOTTにてご紹介を行いたい。
THE PARLOURの活動
渋谷にある「THE PARLOUR」で今年6月9日、「Sailor Jerry Day」と名付けたイベントが開催された。
セーラー・ジェリーのタトゥーフラッシュをカプセルトイ(ガチャガチャ)の中に1つずついれ、出てきたものを1つ5400円で彫るといった概要のイベントだ。
色使いやデザインの構成然り、比較的モダンなトラッドワークを描くことの多い、THE PARLOURのUE氏だが、ルーツへのリスペクトは忘れずにいようという素晴らしい思いが汲み取れる。
彼は紛れも無く日本屈指のタトゥーアーティストの一人だろう。
まとめ
いかがだっただろうか。
普段何気なく目にするアメリカントラディショナルにも、このような歴史や、偉人が関わっていることがおわかり頂けただろう。
今回はセーラー・ジェリーにフォーカスしてご説明を行ったが、次回は更に広く知られる、エド・ハーディについてご紹介を行うため、是非更新情報をチェックして欲しい。
また、オールドスクールタトゥーについては以前、下記にて詳しくご説明を行ったため気になる方は下記も参考にして頂ければと思う。
オールドスクールタトゥーとは?アメリカの伝統タトゥーデザイン
今回は「オールドスクールタトゥー」のデザインやその意味、有名アーティストをご紹介する。また記事の下部には、国内のオススメアーティストの情報も載せておくので、是非ご参考にして欲しい。
では、良いタトゥーライフを!