街中で、服屋さんで、バーや居酒屋、ライブハウスで。
様々なシーンでタトゥーを目にすることが、増えてきたように感じられます。
タトゥーは一生消えないものとして認知されていますが、その1つ1つに持ち主の確固たる想いが込められています。
もし話しかけられるのであれば、そのタトゥーにはどんな想いが込められているのか、またどんな人柄で、どんなお仕事をしているのか聞いてみたいものですよね。
「YOUR TATTOO」は、タトゥーの持ち主の人柄や人生を「タトゥーを通して知ってみる」。
そんなDOTTの連載企画です。
ConTTents
FUJI TRILLとは
経歴
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2004年より、DJとして活動を始め現在では年間250本以上のイベントに出演。日本全国各地のクラブへのGUEST出演や、海外アーティストの来日公演のフロントアクトはもちろん、無料インターネットTV局”AbemaTV”内の人気番組”AbemaMix”にもレギュラーDJとして毎週火曜日に出演している。
また世界でも積極的に活動し、韓国、台湾、中国などアジアはもちろん、2013年と2016年にはヨーロッパ、5ヶ国を渡るツアーも2回おこなっている。最新のTRAP MUSICを中心にジャンルを飛び越えた幅広い選曲、それを自由自在に操るMIXスキル、グルーブ感は世界のリスナーやアーティスト達からも支持されている。
楽曲
またFUJI TRILL氏は、プロデューサーユニット『OVER KILL (FUJI TRILL & KNUX)』としても活動しダークなサウンドを武器に数々のラッパーと楽曲を制作。
(ANARCHY, SWAY, CRAZYBOY, kZm, YDIZZY, ANUBIS, Jin Dogg, Redeye, Fuji Taito, etc.)
先日リリースされた、ラッパーJINDOGG氏との楽曲『Psycho』では、JIN DOGG氏のキャラクターに劣らない、重く狂気に満ちたトラックを披露しリスナーを沸かせたことで知られている。
YOUR TATTOO
今回DOTTの連載記事『YOUR TATTOO』では、「タトゥーを通してDJ・FUJI TRILL氏を”知る”」というコンセプトのもと取材をさせていただける運びに。骸骨・悪魔・逆五芒星・有刺鉄線…と、オカルトなモチーフに満ちた彼の身体について話を聞いているうち、彼のルーツに大きく関わった、『ある人物への”憧憬”』が見つかった。
(動画版はこちら。)
FUJI TRILL氏のルーツについて
音楽を聴き始めたきっかけは…、父親がもともとバンドをやっていた人間で。
自分も、中学の時にバンドをやってみたりしたものの上手くいかず。それでHIPHOPも聞くようになって、「DJをやってみたいな」って思って。
中学を卒業してすぐ始めた、アルバイトの初めての給料でターンテーブルとレコードを買って、音楽を始めました。
父親はバンドをやっていた人間で、彫り師をやったり、絵を描く仕事をしたり。母親は絵を描いたり、デザイナーをやったり、環境問題に取り組んだり、色々やったりしてましたね。
お父様は彫り師を?
そうっすね、彫り師やってましたね。僕が本当に小さい頃で、小学校低学年ぐらいのときまで。
自宅でやってたんで、僕が小学校から帰ってリビングに入ると、親父がオジさんに刺青を彫ってたりとか(笑)
だから刺青はもう、子供のころから結構当たり前に触れてきた感じですね。親父の友達もめちゃくちゃ入ってましたし。
ただ、うちの父親は色んなことを何年かやって、上手くいきだしたら辞めちゃうんですよ。
もちろん本気でやってる彫り師さんほど上手いとかじゃないけど…タトゥーも多分一通りやって、違うことをやりたくなってやめたんすかね。きっと。変わってる人ですよね。
一番最初にタトゥーを見たときの印象は?
正直、物心がついてない頃で…当たり前に見てきたので、逆にあまり「おお」っていう印象とかはなくて。
母親によく言われるのは、小さい頃ペンとかでめっちゃ自分の身体に絵を描いてたみたいな(笑)そんな感じっすよね、印象とかなくて『当たり前』みたいな。
ファーストタトゥーについて
タトゥーを入れようと思ったのは…父親に憧れてる部分が子供の頃からあったんで、当たり前に俺も入れたいなってずっと思ってましたね。
中学校卒業したくらいで父親に「彫ってくれ。」ってお願いしたんですよ。そしたら「ダメだ。二十歳になったら彫ってやるから、来い。」って言われて。で、二十歳になった誕生日の日に親父に会いにいって「彫ってくれ。」っつって、で彫ってもらいましたね。
親父は10年以上人に彫ってなかったし、僕に彫るのにすごい緊張したのか、すごいベロベロな状態で彫ってて、途中「上手くいかないから、金やるから他行け。」って言われて。全然綺麗とかではないですけど、思い出としてそのままとってあります。
『TRILL』の意味は?
「TRILL」っていうのは「TRUE」と「REAL」を合わせた造語で、アメリカのUGKってグループの”PIMP C”って人が作った言葉って言われていて。僕はその人たちもそうだし、HIPHOPの中でもアメリカの南部のダーティー・サウスのラッパーたちがすごい好きで。
当時、僕がHIPHOPのグループをやってたんですよ、3人のラッパーと、僕がバックDJで。トラックもたまに作ったりして。そのグループも『TRILL GRILLZ』って名前で。本当はこっち(右腕)にTRILLって入れて、こっち(左腕)にGRILLZって入れようって思ってたんですけど、解散しちゃったんですよね。
他のタトゥーについて
基本的には、自分の好きなものを入れていくってスタイルで。これとかは、沖縄のAkira君って人に彫ってもらったんですけど。子供のころから骸骨がすごい好きで、骸骨がめちゃくちゃ入ってるんですけど、その中でもすごい気に入っているやつですね。
その下の「RIOT」は割と最近入れたやつなんですけど、真ん中(RIOTの”O”)がアナーキーマークになってて。これはDeeさんって東京の彫り師さんに入れてもらったヤツです。
僕、『SABBATH』って名前のパーティをやってるんですけど、そこでのライブタトゥーで入れてもらいましたね。ベルゼブブって悪魔っすね、蠅(ハエ)なんですけど。『糞山の王』とも言われていて、子供の頃からこれすごい好きで。
これは、僕が一番好きな「666マフィア」っていうHIOPHOPのグループの『Hypnotize Minds』ってレーベルのマークですね。
その下に、666。悪魔の数字って言われてますけど。これは口の中にも同じ666が入ってます。悪魔とか骸骨ばっかなんですよね、これは逆五芒星の悪魔の星ですし。
子供の頃から悪魔とか骸骨がすごい好きで、遊んでたおもちゃとかもそんなんばっかでしたね。父親がそういう(オカルト的なもの)がすごい好きな人だったっていうのもありますけど。
正義の味方のキャラより悪役が好きみたいな(笑)仮面ライダーでも敵の方が好きみたいな、感じでしたねずっと。
ここには、”Solve Coagula”って…なんか錬金術の定義みたいな。悪魔のバフォメットっていう、ヤギの頭のやついるじゃないですか。アイツの腕に入ってるんですけど、その悪魔の絵のここに”Solve Coagula”って書いてあって。
僕『マリリン・マンソン』大好きなんですけど、マリリンマンソンも同じのここに入ってるんですよ。
これは、さっき話した沖縄のAkira君に彫ってもらったやつです。DJやってる上で『手』ってすごい大事というか、目立つじゃないですか。僕はあんまり大きいタトゥーって入ってないんですけど、手は大きいの入れたいなって思って。
去年くらいに亡くなっちゃった※ゾンビボーイって全身骸骨の人が手に骨のタトゥー入ってるの見て、「うわ、これやば!」って思ってやりました。ちょっとテイストも変えてもらって。
※ゾンビボーイ:カナダのモデル『リック・ジェネスト』の通称。
腕の『EVIL』は、さっき話した先輩っすね。意味は、もろそのまま悪魔です。
胸にも、一番大好きな骸骨が入ってます。
理由は完全に『好きだから』で、「ツノが生えてるスカルで」って伝えてAkira君に彫ってもらいました。
これは『エルム街の悪夢』って結構古い映画に出てくる、『フレディ』っていうやつ。夢の中に出てきて人とか子供を殺す、殺人鬼みたいな。わかります?僕のすごい好きな映画で。
とか、これはちょっと意味あるっすね、タロットカードの『ハングドマン』ってやつです。
罪人みたいな感じで…こう、吊るされてるんですよね、逆さまに。意味はそういう『罪人』ていう悪い意味なんですけど、なんか『苦難に耐える』『耐える力』みたいな意味です。
顔のタトゥーはどういう経緯ですか?
これは、去年亡くなってしまった『XXXTentacion』ってラッパーがいて、彼と同じタトゥーを入れたんですよね。ちょうど亡くなってすぐです。
なんか僕的には(XXXTentacionの死が)衝撃的で。知らない人が亡くなってしまって、初めて本当にちょっと落ち込んでしまって、その時に入れましたね。
お腹の『アナーキーマーク』は『無政府主義』で、日本の制度とかに縛られたくないというか、縛られていないというか。
単純にそういう意味で入ってます。
その下の『GREED』は『強欲』って意味なんですけど、常に強欲に生きていきたいなと。
あと、もし年取ってめちゃくちゃ太ってお腹が出てきて、このタトゥーが伸びても、『GREED=強欲』だし何か格好いいじゃないですか(笑)
タトゥーが入っていて良かった思い出や、最高の瞬間は?
この手のタトゥーに関しては、すごい色んな人に話しかけられますね。海外から来たデザイナーとか、アーティストから。
逆にこっちが知ってるような有名な人でも「そのタトゥー、ヤバいじゃん。」って話しかけてくれたり。
『Hypnotize Minds』のタトゥーは、666マフィアに実際に会った時に「日本人にそんな奴いるのか。」みたいなリアクションしてくれて、めっちゃ仲良くしてくれたっすね。それはやっぱ、入れてて良かったって思いましたね。ただ好きでいれたっすけど。
逆に、タトゥーが入っていて困ったことってありますか?
困ったこと…。俺、プールとか全然好きじゃないんですよ。でもたまに、地方に遠征とかで行かしてもらうんですけど、ホテルに温泉ついてたりするじゃないですか。そういう時は入りたくて。一応、気を遣って夜中とか遅めには入るんですけど。
この前、東北いったときに温泉入ってったら、修学旅行生みたいな団体がめちゃくちゃいっぱいいたんですよ。
「ああ、申し訳ないな…。」って思いながら頭洗ってたら……全員出ちゃいましたね(笑)
「せっかく思い出づくりで来てるのに、ごめんなさい。」って思ったっすね、それは初めて心痛かったっす。
社会とタトゥーについて
正直、外国人が今いっぱい日本に来る流れで、風呂とかプールとかジムにしても、(規制が)緩くなってくれたらそれは勿論いいことだと思うんですよね。
でも僕は、元々タトゥーを入れる上でそういう規制っていうのは分かってますし、それはもうしょうがないって思いますね。別に。
それで俺が「風呂に入れないから、」「プールに入れないから、」「ふざけんな、」とかは思わないですね。ただまぁ変わった方がいいのじゃないかなとは思います。
クラブでも「タトゥー=NG」ってあるんですよ。仕事とかゲストでクラブに呼んでもらったりしても、「隠してくれ。」って言われるときもあったりして。それはふざけんなっすよね(笑)
ありがとうございます。では、何かタトゥーに関して発信されたいことはありますか?
…なんか俺、『AbemaTV』っていうWEB-TVで、『AbemaMIX』っていう番組出てるんですよ。
生配信でDJやってるんですけど…コメントで俺のタトゥーを「汚い」とか書いてくる奴がいるんですよ。実際、そんな綺麗じゃないタトゥーも入ってるっすけど…。「僕はアナタたちに見て欲しくて入れてるわけじゃないし、僕の勝手で入れてるんで。とやかく言わないでよくね?」っていう。うざったいなっていう話(笑)
綺麗か汚いかはお前らには関係なくね?っていう。『友達同士で彫ったタトゥー』とか、『中学生の時にノリで入れたようなタトゥー』とか、そういうの結構好きなんですよね。海外とかじゃ、悪い人は刑務所で彫りあったりとか、不良の仲間同士で彫りあったりとか。
『Stand By Me』って映画あるじゃないですか。
あれとか(劇中)でも、普通に車停めて、外でタトゥーを彫ってるシーンとかもあるっすけど、そういうの見ててすげえ憧れてたんで。汚いタトゥーもいいんじゃね?って思うっすね。それは言いたかったです(笑)
最後に、FUJI TRILLさんにとっての『タトゥー』とは?
自分にとっての『タトゥー』は、もう『自分』ですかね、完全に。自己表現ですね。
子供の頃からずっと変わらず好きなものとか、好きになっていったものとか、その一個ずつを身体に刻んでってるってイメージですかね。
自分の思ってることとか、こうありたいこととか、そんな感じっすかね。
TATTOO ARTISTS
Akira(W-oki tattoo)
https://www.instagram.com/akira_w_oki_tattoo/
Dee
https://www.instagram.com/dee_tattooer/
※「YOUR TATTOO」では、インタビューを受けて頂ける方を募集しています。
氏名、年齢、お住まい、ご職業、自身のタトゥーのことを簡単に明記の上、こちらまでお問い合わせ下さい。
洋彫り・和彫り、タトゥーの数や種類は問いません。
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ちなみに、今後の音楽としての展望も聞かせていただけませんか?
僕、いろんな海外のクラブとか行って思った『違い』っていうのは、(海外のクラブは)自国の曲をすごい推してるんですよね。日本ってあんまり、クラブとかいっても日本人のラッパーの曲かからないじゃないですか。それを見て「日本も(海外のように)そうあるべきなんじゃないか。」って。
実際にクラブで自分の曲をバンバンかけたりしてるんですけど、外国人もめちゃくちゃ反応してくれたりするんですよ。やっぱそれはすごい嬉しいですし、日本のHIPHOPとか音楽を世界に持っていけるようになりたいなっていう。すごいベタな野望ですけど(笑)
相方のプロデューサーと『OVER KILL』って名前でやってて、ラッパーの若い人とかにも協力したいなって思ってて。デモ・音源とか送ってくれる人もいっぱいいますけど、全部ちゃんと聞いてるんで。
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