2019.3.23 / Social タトゥーがOKの銭湯へ、真意を聞いてみた。|「刺青がどうではなく、結局は人」

就職・結婚への影響、生命保険の加入不可などに続き、「銭湯及び温泉等への入場制限」は、タトゥー・刺青に付きまとう代表的な制約の一つだ。
東京オリンピックの開催を来年に控えた今、日本の入浴施設ではそれぞれが異なる対応をとっており、社会全体としてタトゥーとどう向き合っていくかを考える必要が出てきている。

そんな銭湯とタトゥー問題であるが、先日Twitter上でとある銭湯の「タトゥーに対する対応とコメントを記載した張り紙」が投稿され、ユーザーからは称賛の声も多くたちまち話題となった。
今回DOTTでは、タトゥーに対しとある対応をとっている東京の銭湯『湯どんぶり栄湯』へ足を運び、対応の真意と銭湯業界の実情を取材してみた。

刺青・タトゥーと銭湯

ではまず、取材部をお読みいただく前に「タトゥーと銭湯」についての現状を整理してみよう。

銭湯でタトゥーはNG?

温泉に入る刺青の入った女性

「タトゥー・刺青が入っていたら銭湯に入れない」とはよく言われるが、一概に全てそうかと言われるとそうではない。

プール等と同様に「スーパー銭湯」と定義される娯楽目的の温浴施設では、基本的にタトゥーがNG。
完全に入場が禁止されている施設や、シール等で隠しての入浴のみ許可している施設など様々であるが、大多数の施設が入場できないものだとされている。

対して銭湯は「公衆浴場」とも言われ、保険衛生上必要とされる施設だとされているため、基本的にはタトゥーが入っていても入場することが可能。
※全国浴場組合は「刺青のある方もお断りしていない」と言及している。

ただ組合のルールとは別に、個々の店舗ごとに独自のルールを設けることは良しとされており、タトゥーの入っている方の入場を拒否している銭湯も多い。
※刺青が理由の拒否は、法的にはグレー。

銭湯とタトゥーの事実

銭湯・温泉|刺青やタトゥーはお断り

結局どっち?という話になってしまったが、観光庁が2015年にとったアンケートでは入浴施設の56%以上の店舗が「タトゥーのある人の入浴を拒否している」と回答。
実際は半数以上の施設ではタトゥーがNGであるため、「銭湯はタトゥーがNG」という話も強ち間違いとは言い切れない。

昨今の銭湯業界とタトゥー

参考に、Webサイト『しらべぇ』が2018年にとったアンケートの結果をご覧頂きたい。

タトゥーと温泉「入りたくない」

出典:しらべぇ

『しらべぇ』の調査結果では、実に9割を超える方が「タトゥーの入った方と銭湯に入りたくない」と回答しており、いかにこの問題の解決が困難であるかを数字が物語っている。

話題のツイート

そして本記事のテーマである、話題のツイートがこちら。

『湯どんぶり栄湯』の張り紙の画像にコメントを添えたツイートは27000RT・82000いいねと瞬く間に拡散。
リプライ上では『湯どんぶり栄湯』を称賛する声が非常に多く、他にもユーザー各々の刺青を目にした際の体験談や、地元の銭湯の話などで賑わいを見せた。

湯どんぶり栄湯へ取材

筆者もツイートを拝見するや、すぐさま『湯どんぶり栄湯』へ連絡し、実際に話を聞かせて頂ける運びとなった。
ご夫婦で経営される『湯どんぶり栄湯』は、温泉さながら温かい様子で迎え入れてくれ、刺青・タトゥーのある方々の実情と、独自の対応についてこう答えて下さった。

銭湯|刺青・タトゥーへの対応

銭湯における、刺青への対応

当店は、刺青・タトゥーのある方の入店OKです。
創業当時より70年以上に渡り、刺青・タトゥーの有るお客様によるトラブル無く営業して参りました。
しかし、時代の流れで、入店を断る入浴施設は増えています。
刺青やタトゥーが有るだけで、迷惑な風紀を乱すお客様ということにはならないと当店は考えます。
ですが、どうしても目立ってしまいます為、大声で話す、いつまでも裸でいる等、他のお客様が怖く感じてしまう恐れのある行為はお控え下さい。
どうぞご協力お願い致します…!
天然温泉 湯どんぶり栄湯 店主

このような対応の経緯について聞かせて頂けますか?
数年前、刺青のあるグループ客のマナーに対するクレームが増えた時期があって、元々刺青はOKだったんですが、そこから真面目に刺青について考えるようになりました。

でまた、ここ最近で段々タトゥーの入ったお客さんも増えてきて。
口コミとか見ていると「栄湯は、刺青の入ってるお客さんの率が高いから、行くのやめた」ってレビューもあったりして。
何回か話し合った中で、実は「今年から刺青・タトゥーの入店はNGにしよう。」って思って。

それをある人に相談してみたら「でも、刺青だからって大きなトラブルもないんでしょ?」って言われて、「確かに大きいトラブルはないな…。刺青に関わらずマナーは悪い人は悪いし。」って思ってこうなりました。

ただ「2人以上ではあんまり来ないで」とは伝えるようにしてます。
もともとタトゥーの入った方が2人も3人もいるのに、そこに増えると刺青祭みたいになっちゃうから(笑)

なるほど。では刺青に対して特段優遇な対応をとっているわけでは無く?
みんな一緒ですよ。刺青が入っているとかそうじゃなく、みんなで使ってもらいたいっていう気持ちです。
特に「刺青・タトゥーのある人たちでも、入れるところを作ってあげよう」という気持ちはないですね。

1日40人くらいは刺青の入っている人が来店しますけど、やっぱり威圧的なものは否めないですし。
しかも見せたいからか、いつまでも裸のままのお客さんもいたりして、そういう人には「服着て?」って、みんなが怖がらないように注意するようにしてます。

少なからず、刺青が一般の方に「威圧」を与えてしまうことがある、ことはご承知だと。
そうですね。
昔は刺青の入った方がいると、逆にみんなルールを守るというか、秩序が保たれるというか(笑)
本業の方々も静かに入ったり、こうルール・マナーを守りながら入ってたんだけど…。
今は入ってる人たちが逆に騒いだりしちゃうことが多くなってきて。
そこは今と昔の違いじゃないですかね。

銭湯における、刺青への対応

今、分かりました。
張り紙は「刺青が入っててもお風呂に入れる」ことを明示しているだけでは無く、「全ての方に安心してもらえることの証明」に近くって。
そう!そうです。
うちは外見で判断するよりもマナーを徹底してるだけなんですよ、刺青の入ってる人たちであっても、普通に入ってくれればそれでいいんです。

なのでうちのお客さん、みんなマナーすごく良いんですよね。
他の銭湯で、お客さんのマナーが悪くても注意しないところもあるけど、うちは注意するので他の銭湯よりもマナーは良いと思います。

刺青の入ってる方にマナーを注意して、逆ギレしたりする人もいますよ。
でもそういう人は注意したら、もう来なくなるし、それでいいんですよ。

では刺青の有無にかかわらず、皆が平等に銭湯を楽しんでもらえるよう、秩序を保つ努力をされているからこそ、刺青の人でも受け入れられるってことですよね。
うちはマナーを守れない人は来なくて良いし、刺青が入っててもマナーが守れるんだったらどうぞいらしてください。だし。
それは刺青が入ってようが、入ってまいが関係ありません。結局は「人」です。

最後に、まだまだ賛否の絶えない「刺青と銭湯業界」ですが、刺青・タトゥーと銭湯業界は今後どのように共存していくべきだと思いますか?
施設側が「刺青の入ってる人を注意しない」「普通の人だけ注意する」とかしちゃったらダメなんですよ。
うちは刺青が入ってようが注意はする、それを見たお客さんも「注意してるんだな」って安心してくれる。

やっぱり、刺青が入っていたら「強く見える」って思ってすごく堂々しちゃう人も一定数いるじゃないですか。
そう人たちがいるから「刺青=威圧的」に思えちゃうのかなって。
普通に入って、普通に同じように楽しめばいいのにって思いますね。

考察・まとめ

筆者は少し、勘違いをしてしまっていたかもしれない。
一見すると、単なる「刺青があっても悪い人とは限らないから—」と、我々にとって都合よく捉えてしまいがちだが、実際のニュアンスは少し異なる。

『湯どんぶり栄湯』の張り紙によっての施策は、あくまで刺青・タトゥーが威圧になる可能性を受け止め、それを公衆浴場という性質と照らし合わせた、悩みに悩んだ末の決断。
加えて、経営を行う梅田さんの不断の努力があって成立している、「全ての方が安心して銭湯を楽しめる」ことの証明のようなものでもあった。

一、タトゥーの入っている筆者も改めて身の引き締まる思いを感じずにはいられない、とても有意義な取材となった。


最後に、取材にご協力頂いた『天然温泉 湯どんぶり栄湯』をご紹介し、本記事を締めくくりたい。
刺青・タトゥーの有無に関わらず、自慢の超軟水の露天風呂で「どんぶって」みてはいかがだろうか。

営業は夜0時までやっているため、仕事終わりの疲れをゆっくり癒すのもいいだろう。

名称 天然温泉 湯どんぶり栄湯
住所 東京都台東区日本堤1-4−5
料金 460円
電話番号 03-3875-2885
HP http://sakaeyu.com
Twitter @yudonburi
Instagram @yudonburi.sakaeyu
Facebook asakusa.sakaeyu

では、良いタトゥーライフを!

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