タトゥー(刺青)は今、世界中で ”ファッションや個性の表現”として親しまれている芸術の一つだ。
日本にいると「海外はタトゥーに対して慣用で―」なんてフレーズをよく耳にするが、タトゥーが社会的に途上国であるのは日本だけではなく、意外にも隣国である韓国もタトゥーの社会的な途上国の一つなのである。
それを裏付ける理由の一つとして、「韓国ではタトゥーアーティストであることは違法」だということを聞いたことはないだろうか。
今回はそんな韓国の社会的なタトゥー事情、歴史背景について解説しよう。
韓国のタトゥーの歴史
発祥
韓国のタトゥーの起源を辿ると、時代は”三国時代”まで遡るため凡そ2000年近く前になるが、明確な記録というのは残っていない。
その後大きな変化は今から1000年ほど前、高麗の時代に起こる。
その際にタトゥーの意義が”規律”として定められ、主に”罪人に課すもの”として広く知れ渡るようになったのである。ちなみに当時は”行った犯罪の名称”をタトゥーとして施されたようだ。
現在
そして現在韓国では、一部だがタトゥーがファッションとしても親しまれるようになり、今や韓国のタトゥーアーティストは、世界レベルで張り合える程の技術の発展を遂げている。
背景には昨今のグローバル化により、海外で活躍をする韓国人アーティストやスポーツ選手が他国に影響を受けタトゥーを入れる。
それを見た韓国の人々が憧れを抱く—。といった流れが想定として妥当である。
しかし現在に至るまでに韓国ではタトゥーの法規制を経ているのだが、法律については詳しく後述する。
韓国のタトゥー事情
韓国のタトゥー人口
韓国のタトゥー人口は凡そ100万人だとされ、総人口の5000万人のおおよそ2%だとされている。
ちなみにだがこの2%という割合は日本のタトゥー人口の割合と同様である。
タトゥーの社会的位置づけ
最近は考えが変わりつつあるが、未だ日本で和彫りの刺青は所謂 ”ヤクザの象徴”だといった認識、社会的位置づけにある。
韓国でも同様に「タトゥー≒アンダーグラウンドの文化」とされており、「犯罪者」「ギャング」といった反社会的な位置づけにあるようだ。
そのため日本同様に韓国でも入浴施設やプール等、肌の露出が予想される施設のほとんどに入場の規制があるのが事実である。
タトゥーに関する法律
1970年頃、韓国にタトゥーがファッションとして浸透し始めた頃から「タトゥーの安全性」についての是非を問う議論が絶えなかった。
しかし1990年、ついに厚生省が法規制に踏み切り、2001年には「タトゥーは医療行為(針療法)であるため医師の免許が必要」という法律を最高裁判所が制定したのである。
つまり、文化の発展の経緯や、人口、社会的位置づけや法律までもが日本とそっくりなのだ。
しかも韓国も同様に医師免許を持つアーティストはごく一部であり、2万人にも上るアーティストのほとんどが無許可でタトゥーの施術を行っている。
検挙
韓国でのタトゥーアーティストの検挙については日本より顕著にみられ、事情聴取や罰金刑などはアーティストにとってかなり身近な存在なようである。
よってタトゥーアーティストであることにリスクを伴うため、韓国のタトゥーの料金は比較的高く、アーティスト自身の収入も悪くないとされている。
合法化の運動
2015年12月より、韓国のタトゥー財団が厚生労働省に法改正を求め、現在も論争中であるそうだ。
まとめ
いかがだっただろうか。
これらが今韓国における、タトゥー事情と社会的位置づけである。
日本も韓国もタトゥーの法整備についてはまだまだ論争段階だが、技術やデザイン的には両国ともにかなり先進的であることが何とも言えぬ皮肉だ。
これから更なるグローバル化に伴って各国のタトゥーに対する考え方がどうなるか、今後のタトゥー業界の課題でもあり注目すべき点の一つとも言える。
韓国へはタトゥーを彫りにいったことがあるため、興味のある方はこちらも読んでいただきたい。
韓国・3泊4日タトゥーの旅へ行ってきた~1・2日目篇 Dokgo~
DOTTでは、「韓国のタトゥー事情」をテーマに、韓国の刺青の歴史や、社会的なポジション、違法性などについての記事を公開した。 今回は、つい先日、筆者である私が韓国にタトゥーを入れにいってきたため、実際に肌で感じたことなどを記事に出来ればなと思っている。
では、良いタトゥーライフを!