街中で見かけるタトゥー・刺青は、和彫りは元より、トライバル・ブラックアンドグレイなど、モチーフやスタイルも多種多様になってきた。
それぞれのスタイルの技法や意味を積極的に学び、施術の幅を広げている彫り師がいるということだ、嬉しい限りである。
その中でもオールドスクールタトゥーというスタイルは、比較的早期に入ってきたにも関わらず、廃れることなくマニアから愛される定番のスタイルだと言える。
今回はそんなオールドスクールタトゥーの中でも、特によく使われるモチーフであるダガー(短剣)のタトゥーにスポットライトを当ててみよう。
意味や歴史は勿論、これから入れる人に向けて参考デザインなどをご紹介。
ConTTents
ダガー・短剣タトゥー
歴史
ダガーとは?
ダガーは、全長40㎝未満の両側に刃がある短剣のことを指す。
古代ローマ時代に中世ヨーロッパで多く用いられ、戦闘時は刺す・投げる事を目的に使われた。
長い武器で相手を地面に引き倒し、鎧の隙間からダガーで致命傷を与えるという戦闘のスタイルでよく使わてたようだ。
ダガーとタトゥー
ダガーがタトゥーのモチーフになったのは、オールドスクールタトゥーの発祥と同時期であると推察され、100年以上の歴史を持つモチーフであることが伺える。
水夫のタトゥーと呼ばれるオールドスクールだが、船乗りの身近にあるものの中でインパクトが強かったためモチーフに使われたのではないだろうか。
オールドスクールタトゥーとは?アメリカの伝統タトゥーデザイン
今回は「オールドスクールタトゥー」のデザインやその意味、有名アーティストをご紹介する。また記事の下部には、国内のオススメアーティストの情報も載せておくので、是非ご参考にして欲しい。
ダガー・短剣のタトゥーの意味
ダガーの意味は一般的に、「勇気」「勇敢」「死んでも何かを守る決意」などが挙げられる。
しかし、他のモチーフと一緒に彫った場合は、多少意味合いが変わってくるため、今回はポピュラーな例を何点か挙げてご紹介しよう。
薔薇とダガー
薔薇とダガーのデザインは、男女共に可愛く映え、世界中で人気のタトゥーデザインの一つだと言える。
英語圏で使われる、
「Life is not always a bed of roses. (人生はいつでもバラ色のベッドで眠るような安楽なものではない) 」
という慣用句が由来だとされ、
「時には耐え忍び、ぐっと我慢をしながら前向きに進むしかない」という教訓を、薔薇とダガーの組み合わせは示している。
日本でいうところの、「人生楽ありゃ苦もあるさ」といったところだろうか。
ハートとダガー
ハートとダガーも、アメリカントラディショナルの中では鉄板のモチーフだ。
ダガーがハートを貫いている場合、「裏切り」「壊れた心」または「失われた愛」を表している。
人生は色々あるものだが、心に酷くダメージを受けた後、人はタトゥーを彫りたくなるのかもしれない。
ヘビとダガー
”何かにまとわりつく蛇”は、治癒と医学の象徴である。
どちらかと言えば、男性によく好まれるデザインではないだろうか。
また、似たものとしてローマ神話に出てくるマーキュリー(ヘルメス)の持っている杖(?)があげられる。
(セーラームーンを思い浮かべた方もいるかと思うが、そのマーキュリーである。)
マーキュリーは商人や旅人の守護者で、人生の旅路の安全を期待して彫る人も多い。
髑髏(スカル)とダガー
こちらも非常に人気がある組み合わせ、スカルとダガーである。
スカルにダガーが刺さっているものは「死」や「破滅」を意味することもあるが、反対に「死の恐怖に打ち勝って前に進む意志」という解釈もあり、比較的広義に用いられている。
シンプルにデザインとしてクールな物が多く、筆者オススメのデザインの一つだ。
体に刺さったダガー
身体に刺さったようなダガーのデザインは、比較的最近になって見かけることが多くなったデザインだろう。
図柄から解釈するに、「痛み」や「痛みに打ち勝つ強さ」といった、逆境的な意味合いを持つものだと言えるだろう。
タトゥーデザイン
それではここからは、有名なスタイルごとにダガータトゥーを紹介していこう。
組み合わせのモチーフを考慮し、日本刀の短刀や、小さめのナイフにするなどといったアレンジも可能である。
オールドスクール
オールドスクール、またの名を「アメリカントラディショナル」としてカテゴリー分けされるスタイルである。
ダガーの柄の部分に備わった凛とした狼を見ると、どこか狩りがうまくいきそうな、勇気をもらえるダガータトゥーだ。
こちらは両手の指を組んで、初めてダガーになっていることに気付くタトゥー。
指へのタトゥーは人気だが、中でもこのような遊び心のあるタトゥーは非常に粋なデザインだ。
他にもアメリカントラディショナルにおいては、様々なモチーフと掛け合わされる事が多いが、どのモチーフもダガーと良くマッチする。
ニュースクール
ダガーのタトゥーはオールドスクールだけでなく、様々なスタイルでも人気がある。
「ネオトラディショナル」や「ニュースクール」と呼ばれるこのスタイルでは、より繊細で美しいダガーを彫ることが出来る。
こちらは、首に巨大なダガーがささって貫通しているように見える絵柄である。
薔薇の描写も美しく、面白みもあってとても素敵な発想だ。
余談かもしれないが、ロシアでは首を貫通した刃物のタトゥーは「プリズンタトゥー」と思われる可能性があるため、注意しよう。
このように、通常のトラッド系では単調になりがちなハートとダガーも、ネオトラディショナルなら繊細に表現することが可能。
ブラックトラディショナル
ブラックトラディショナルは文字通り、黒のみのトラディショナルタトゥーを指す総称である。
少しもったりした印象になりがちなトラディショナルタトゥーも、ブラックワークにすることでよりクールに魅せる事ができる。
勿論これはダガーにおいても言えることだ。
アウトラインが細いものはキレイめになるが、ボールドにすると少しトラッド感が増す。
更には塗り感を強くするとアンニュイな雰囲気も醸し出せたりと、意外と幅広い表現が可能なのが特長。
リアリスティック
シンプルな果物ナイフのような物でも黒味を調整するとインパクトのある仕上がりに。
こちらの作品は、柄の木目まで繊細な表現が出来ている良い例だろう。
こちらはドット要素の強いリアリスティックのダガー。
宝剣のような美しいダガーを細部にまで気を抜かず描写した好例。
隣国、韓国ではこの手のスタイルが得意とされているが、日本で彫るのは中々難しいかもしれない。
これから入れたい人へ
オススメの場所
ここでは、これからダガータトゥーを入れたい方に向け、オススメの部位を何点かご紹介しよう。
基本的にダガータトゥーは、どこに入れてもキまるのだが、人気な部位は以下の通りだ。
腕
ダガータトゥーの一番人気のタトゥー部位は腕である。
その形状から直線が多くなるダガーだが、関節部を除けば絵柄が崩れることもないだろう。
また、他のモチーフと組み合わせたい場合も絵柄と余白のバランスが取りやすい、非常にオススメの場所の一つだ。
腕のタトゥー・刺青はこれでキマり!参考デザイン・おすすめスタイル
今回は腕のタトゥーにピッタリなタトゥースタイルを、ワンポイント・腕一面(フルスリーブ)の2セクションに分けてご紹介する。 また、これから入れようかと思っている方のために、参考デザインのデザイン・スタイルも記載しておくので、是非参考にしていただきたい。
胸
胸もダガーが映えるいい場所だろう。
刃物という性質上、特に左胸に入れると懸命の覚悟が感じられて格好良い。
また左右対称の形状をしたダガーを、縦に一本、みぞおち付近に入れるのもいかがだろうか。
首
堅い仕事の人には向かないが、もし環境が許すなら首も検討してはどうだろうか?
前から見える位置に、傷とダガーのタトゥーを入れるのも良し。
女性はうなじ付近にダガー入れるとセクシーに映えていいだろう。
首へのタトゥーがかっこいい!著名人のタトゥー・痛みやデザインまとめ
日本ではファッションや個性の表現としても認知されつつあるタトゥー(刺青)。 今回はそんな中でも上級編、首のタトゥーについてご紹介しよう。 これから入れる人に向け、クールな参考のデザインは勿論、痛みやタトゥーの入った著名人なども徹底解説。
まとめ
いかがだっただろうか。
様々なスタイルでダガーのタトゥーを見ていると、シンプルだが多様性のあるモチーフであることに気付かされる。
スタイルに関しては、色々悩んでベストな物を見つけて欲しいが、個人的にはオールドスクールを選択すれば間違いないと思われる。
他のスタイルを見てみたい方については、下記にタトゥーの種類をまとめているため、是非読んでいただきたい。
【最新】タトゥー・刺青の種類 全26種|参考デザインまとめ
今やファッションや個性の表現として認められるようになってきたタトゥー。和彫りを始め、トライバルやブラックアンドグレイなど。様々なタトゥーの種類を見たことあるはず。 今回はタトゥーのスタイル・種類の全てをもれなくご紹介!
では、良いタトゥーライフを!