今、世界では空前のタトゥーブームが到来しているが、中には特定の地域で数千年変わらず続いてきた伝統のタトゥーも存在する。
今回は、知る人ぞ知るタイの伝統のタトゥー「サクヤン」についてご紹介する。
サクヤンの図柄・デザインの意味は勿論、
これから現地で入れようと考えている方に向けて、料金の相場や衛生管理などの注意点について徹底解説。
サクヤンとは
サクヤン(Sak Yant)とはタイの寺院で僧侶(お坊さん)が行っている伝統のタトゥー(刺青)である。
”Sak”は”刺青”を、”Yant”は”※ヤントラ”を意味すると言われ、”魔除け・幸運・困難から救ってくれる”といった守護効果を持つ。
※ヤントラとは、魔法など神聖なものを図形化したもの。日本で有名なヤントラでは”曼荼羅”などが挙げられる。
また、それぞれの図柄の意味については詳しく後述しよう。
伝統の手彫り
サクヤンの最大の特徴はその彫り方。
昔は長い竹を用いて施術を行っていたが、現在はスチールの長い棒の先端が鋭利になったメタルロッドという道具が使われることが多い。
ポリネシアンのトライバルタトゥーの手彫りが棒を用いて”叩く”ことで知られているが、サクヤンは”突く”。
これは世界でも他に類を見ない、日本伝統の和彫りと似た彫り方と言えるだろう。
無論、マシンに比べ痛みを伴うことと、完成度(ここでは単純な鮮明さ)としては劣っていまうのだが、伝統の雰囲気を味わいたい方は是非、現地で手彫りを行うのはいかがだろうか。
しかし最近ではタトゥーマシンで施術を行うところもあるため、より綺麗な作品を求めている方はマシンで施術を行うところで入れてもらうのもいいだろう。
図柄の意味
サクヤンにはいくつかの図柄があるが、今回はその中でも最も有名な3つを厳選して簡単にご紹介する。
タイに記念として入れに行く方や、初めてサクヤンを入れる方は以下3つのどれかを入れることが多い。
またこれらのデザインは本来、僧侶が祈りを唱えた後、僧侶がデザインを決めることがほとんどだ。
そのため、もしデザインに迷われたり伝統を味わいたいのであれば、僧侶にデザインを決めてもらうのもいいのではないだろうか。
サクヤン・ハーテェウ
サクヤン・ハーテェウ(Sak Yant Hah Taew)は、クメール語で5行の呪文・祈りや願いを込めたものである。
それぞれ左から意味をご説明しよう。
- 不当な処罰を防ぎ、精神を浄化する・持ち主の住んでいる場所を保護する願い
- 星座占いの悪や、悪運から守る願い
- 黒魔術や、誰かからの意図的な呪い等から保護する願い
- 将来の成功や、持ち主の幸運を激励する願い
- カリスマ性・異性に対しての魅力を授ける願い
サクヤン・ガオヨード
ガオヨード(Gao Yord)は”Yant kru”と呼ばれ、最も神聖なヤントラに値するため、ヤントラの中でも最も重要なものの一つである。
また非常に幅広い保護効果を持つこともあり、初めてのサクヤンとして僧侶が選ぶことが多いのがガオヨードだ。
基本的なデザインは”神聖な9つの山”がモチーフとなっており、それぞれにヒンドゥー教の神が宿ると言われている。
3つの楕円形が積まれたようなものが、それぞれの神を表し、下のマス目は”魔法の箱”を表す。
そしてこの魔法の箱の中に書かれているのが呪文というわけだ。
効果としてはこの呪文の数だけあるのだが、「悪しきを打ち砕く」「他者からの愛」「安全」「偉大な権力」「魔法による保護」「強さ(戦に対して)」「事業等の仕事が上手く行く」「異性から惹かれる」「運命を変えるほどの幸運をもたらす」「自然災害から守る」などがある。
ペェーティット
ペェーティット(Paed Tidt)は「8 direction(8方向)」とも言われ、8人の仏から保護を受ける意味を持つ。そして360°全方位、どこへいっても仏が守ってくれる効果があると言われている。
ジオメトリックタトゥーに似たようなデザインであり、女性にもオススメのデザインだ。
これらそれぞれに魔法がかけられ、お守りのように全て意味が異なるのが非常に魅力的である。
【最新】タトゥー・刺青の種類 全26種|参考デザインまとめ
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サクヤンを入れたい!
ではここからは、実際にサクヤンを入れたいと思っている方に向け、現地タイの情報は勿論、国内のスタジオなども記載しておく。
近年観光客で賑わっているタイだが、衛生管理についての問題も挙がっているため必ず抑えて置くべきである。
値段の相場
タイでの値段
サクヤンを現地で入れる際の値段であるが、これは本当にまちまちである。
そしてこの”まちまち”というのも、日本では考えられないほどの”まちまち”なのである。
そもそもお金ではなく、煙草や花などを買って寺院に寄付(?)する場合もあれば、価格が300円程度で済む場合もある。
僧侶によっては数万円を請求する者もいるため、事前に確認するのがいいだろう。
日本での値段
日本で入れる場合は通常のタトゥーとあまり料金は変わらない。
凡そ手の平サイズで4万円〜5万円が相場と言えるだろう。
衛生面での注意
前述したが、近年は衛生管理を怠っているスタジオ・寺院による衛生管理の被害が問題として挙がっている。
そもそもインクが、ヤシの油やヘビ毒・中国の木炭等を混ぜて独自のインクを作っているところが多いため、100%信用しきるのはよくないだろう。
針(メタルロッド)は使いまわしという形になるが、アルコールなどで入念に洗浄を行っているところでないと、感染症の危険があるといえる。
まとめ
いかがだっただろうか。
いずれにせよ国内には情報量が少なすぎる。
そのためタイに行こうと考えているのであれば「Bangkok Sak Yant」等で英語で検索をかけ、海外のサイトを閲覧し、参考にするのもいいだろう。
では、良いタトゥーライフを!