世界では空前のタトゥーブームが起きている。
日本よりも海外に目を向けるとファッションの要素も強く、比較的身近に親しまれているようだ。
そんな海外の中から、今回は中国のタトゥー・刺青と国民性にフォーカスしていきたい。
中国でタトゥーはどう思われているのか、そもそも違法性はどうなのかなどを、詳しくご紹介しよう。
ConTTents
中国におけるタトゥー
では最初に、中国における現在のタトゥーについてだが、ざっくりと説明をさせて頂く。
意外かもしれないが、中国及び韓国・台湾のタトゥー業界には、技術的な点で日本より優れた、繊細なタトゥーアーティストが多数存在する。
母数によるもの、という解釈も無論妥当ではあるが、“所謂タトゥー先進国“だとも言えるだろう。
これらを踏まえ、まずは歴史から紐解いてみよう。
中国の刺青の歴史
鯨面文身
刺青は古くは、鯨面文身(げいめんぶんしん)と呼ばれ、中国南部の海洋系民族の風習であるという歴史がある。
文身(ぶんしん)は身体に入れるいわゆる刺青、鯨面(げいめん)は顔にほどこす刺青(時には顔面彩色を伴うもの、つまり化粧)のことをさす。
文献としては、中国の呉越時代の呉王が、長江以南の海岸部に居住していた白水郎(海女)の文化風習を模倣し自ら鯨面文身をおこない、出身地の北朝には戻らないことを決意したとされる故事が、最古の文献として現存している。
リー族の刺青
それとは別に、中国・海南省海南島に住む少数民族リー族に伝わる文化で、女性だけが刺青をまとう習慣があり、3000年の歴史がある。
※現在は衰退しつつある。
顔・首・胸・手足などに刺青を施しており、その図案は地域や氏族ごとで異なる。
刑罰としての刺青
日本と中国に共通する、刺青に対するマイナスイメージの原因の1つとして、古代中国の五刑があげられることがある。
五刑とは肉刑(肉体の一部を傷つける刑罰)のことで名のとおり以下の5つの刑のことを指し示す。
- 墨 (ぼく) …いれずみ
- 劓 (ぎ) …はなきり
- 剕 (ひ) …あしきり
- 宮(きゆう)…男子は去勢、女子は幽閉
- 大辟 (たいへき) …くびきり
これら中国刑法の完成された刑罰体系が、儒教により大陸文化と共に日本に流入し、大宝律令・養老律令などの刑罰体系にも重要な影響を与えた。
つまりは、日本でしばしば聞く「刺青は罪人の…」といった言葉のソースは中国にあるとい言えるだろう。
これが中国人と日本人の多くが刺青に対して抱くマイナスイメージがとても似ている理由であると考えられる。
現代における中国の入れ墨
ではここからは観点を変え、現代における中国の刺青についてご紹介しよう。
放送の制限
最近のニュースで言うと、中国の放送に関する監督庁は、「刺青のある芸能人は低俗であるとして、テレビ、ラジオ番組で取り上げない」という禁止令を打ち出したことが有名である。
これは「刺青のある芸能人やヒップホップ文化、サブカル文化、喪の文化」は「低俗で悪趣味」という理由だとされている。
また、プロレスなどのファイターにも規制にかかり、タトゥー入れてるファイターは衣服を着用し試合に挑むようになった。
つまりは、国単位ではタトゥーに対するイメージは批判的であることが言える。
国民の印象
しかし、一国民単位にフォーカスすると、近年、男性よりは女性の間でタトゥーに対するマイナスの反応が変わってきているのだ。
芸能人やスポーツ選手の影響か、セレブの間でタトゥーが人気を呼んでおり、中国人女性の間では、自己表現の一種としてタトゥーを入れることが静かなブームとなっている。
かつては中国の首都・北京では専門のタトゥースタジオは非常に珍しかったが、ロックやパンクが流行するにつれて、社会の寛容度も変わり、タトゥースタジオも続々と開店、現在では約280軒にもなっている。
あるタトゥー愛好家は「10年前ならばタトゥーを受け入れる女性は10%程度ぐらいだった。だが今では60~70%にまで増えている」と話す。
また、中国全土で約20万人のタトゥーアーティストがいると推計している。
違法性・職業
中国では、公的には刺青は禁止されており、刺青のある者は軍人を含む公務員に採用されない。
しかし実際には多くの彫師が店を構えていて、ほとんど取締りを受けていないことからグレーゾーンであると言えるだろう。
中国で人気のタトゥースタイル
冒頭にもお伝えしたが、中国(韓国・台湾も)には、繊細なタトゥーアーティストが多数存在する。
少し前は強く見えるためにタトゥーを入れるという人が多かったが、ここ数年でその考えに変化が起こっているのだ。
黒くて太い線の単純なものが中心だったデザインが、最近はどんどん精巧になり、リアリスティックは勿論、ホワイトカラーやメルヘンなスタイルも広まってきている。
また、近年では洋彫りのものが多く見られるほか、北京周辺では、日本・韓国の影響で和彫りの刺青を入れる者も多く、日本との交流も増えている。
外国文化に触れることが多くなったため、国民のタトゥーに対する美的感覚も大きく変化しているようだ。
韓国ではタトゥーが違法!? 韓国のタトゥー事情や歴史について
日本にいると「海外はタトゥーに対して慣用で―」なんてフレーズをよく耳にするが、タトゥーが社会的に途上国であるのは日本だけではなく、意外にも隣国である韓国もタトゥーの社会的な途上国の一つなのである。今回はそんな韓国の社会的なタトゥー事情、歴史背景について解説しよう。
料金
料金の相場は、おおよそ15000円~/1時間、店によっては、さらに相場は高い。
日本は大体10000円/1時間であることや中国の物価も加味すると、中国でも豊かな上流階級の方に好まれていると言えるだろう。
中国で有名な彫師
ではここからは、国内は愚か、世界で名を馳せる中国の有名アーティストをご紹介しよう。
中国のタトゥーアーティストで有名な方々に共通する点は、どれも繊細なタトゥーが多いというところだろうか。
Mini Lau
Mini Lauは中国・香港の「Hello Tattoo」で活動する女性タトゥーアーティストで、Instagramのフォロワー数は25.2万人。
彼女のスタイルはリアリスティックに近いが、ただ写実的なだけではなく配色やラインのタッチにどこかメルヘンさを感じずにはいられない。
以前「繊細すぎるカラータトゥー Mini Lauの予約がオープン」の記事で詳しくご紹介を行ったため、気になる方は是非一読頂きたい。
Chen Jie
Chen Jieは中国・北京の「Newtattoo」で活動をするタトゥーアーティストで、Instagramのフォロワー数は25.3万人。
まるで筆で身体に描いたような繊細なタッチで、スタイルは水墨画・水彩画タトゥーと呼ばれる。(海外ではWater color tattoo などとも呼ばれる。)
日本ではこのスタイルを専門とするアーティストは少なく、比較的先進的な流行のスタイルだと言えるだろう。
そして彼はこのスタイルでいうなら、紛れも無く世界屈指の実力者である。
まとめ
いかがだっただろうか。
日本では聞くことが少ない中国のタトゥー事情だが、実際は技術も高く社会に馴染み始めている。
中国に旅行などで足を運んだ際は、中国でタトゥーをいれるのもいいのではないだろうか。
では良いタトゥーライフを!