オリンピック開催への追い風もあり、少しずつ寛容になりつつあるタトゥー・刺青。
街中でも多くの若者たちがファッションとして、タトゥーを施しているように見受けられる。
当サイト、タトゥーメディア「DOTT」の運営を行なっていると、ありがたいことに様々な質問を頂けるのだが、その中に「タトゥーは何歳から入れれますか?」というものがあったため、今回はこの回答を記事にしよう。
実際に東京都青少年課に聞いてみた回答も踏まえて執筆を行なっているため、是非最後まで読んで頂きたい。
ConTTents
はじめに
様々なタトゥースタジオを調査した内容や、法律及び条例を扱う団体へ確認した結果をまとめた記事となっております。
情報の正確性については一切の責任を負えませんので、予め御了承下さい。
結論|タトゥーは18歳から
本題に入る前に質問の回答から行うと、「現実的に考えると、タトゥーは18歳から入れることが可能」という結論に至った。
この「現実的に考えると」というところがミソであり、今回の記事の最重要部になってくるだろう。
理由1|青少年保護条例による規制
まず理由の一つ目、「青少年保護条例」という、18歳未満の方を健全な育成から擁護するための条例が各都道府県に設けられているのだが、この条例の中で刺青・タトゥーの規制を行なっている都道府県では「18歳未満へのタトゥー施術」が禁じられている。
青少年保護条例については、さらに詳しく後述する。
理由2|タトゥースタジオ側の制限
そして二つ目、上記理由に加え、タトゥースタジオ側が独自の制限を設けているケースが多いこと。
スタジオによってルールは異なるが、大多数が「18歳〜20歳未満への施術は行なっていない」ことをHPなどで明示している。
これは筆者の肌感覚だが、制限の対象は18歳未満が半数程だろう。
上記理由に基づき、「タトゥーは18歳から入れることが可能」と解釈するのが妥当。
続いて、青少年保護条例について、逮捕例なども通して詳しく読み解いていこう。
タトゥーに関する条例
先述した通り、18歳未満へのタトゥー施術は、各都道府県で定められている「青少年保護条例」で規制されていることが多い。
まずは、筆者の生まれの地である「京都府」の例をご覧いただこう。
京都府|タトゥーに関する条例
(いれずみを施す行為の禁止)
第24条 何人も、正当な理由がある場合を除き、青少年に対し、いれずみを施し、受けさせ、又は周旋してはならない。
条例上では、青少年の定義を「婚姻していない18歳未満の者」としている。
したがって、「18歳未満の者に対して、タトゥーを入れたり、入れること勧める」ことは条例により禁止されていると解釈できる。
条例に違反した場合
第24条の規定に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。
(中略)
第24条の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、(中略)処罰を免れることができない。
これは、あくまで京都府での一例であるため、他の都道府県はその限りでは無い可能性もあることはご承知おき頂きたい。
条例に基づくタトゥーの逮捕例
実際に18歳未満にタトゥー・刺青を施したとして、逮捕に至った例をいくつかご紹介。
埼玉県の例(2014年)
埼玉県警少年捜査課と熊谷署は10月22日、18歳未満の少女に入れ墨を施したとして、県青少年健全育成条例違反(入れ墨の禁止)の疑いで、自称アーティストの男(38=東京都中野区)を逮捕した。
引用元:エキサイトニュース
神奈川県の例(2015年)
18歳未満の少年2人に入れ墨をしたとして神奈川県警は20日、同県横須賀市野比4、入れ墨彫り師を県青少年保護育成条例(入れ墨の禁止)違反容疑で逮捕した。調べに「2人とも18歳と聞いていた」と容疑を否認しているという。
他にも、京都や愛知県などで実際の逮捕例がいくつか報道されている。
しかし、全ての都道府県が青少年保護条例で「いれずみの禁止」を行なっているかと言われれば実はそうではなく、大阪や東京はその限りでは無い。
※大阪のタトゥーアーティスト及び彫り師の方々が、医師法違反で逮捕されている件は本件とは別問題のため、詳細はこちら。
日本の首都である東京において、条例で青少年に対し、タトゥー・刺青の規制を行なっていないのは本当なのだろうか。
東京都・青少年課にタトゥーの条例について聞いてみた
筆者が先日、東京都の※青少年保護条例を管轄する青少年課にタトゥーについての質問をしてみたため、その回答を記述しよう。
※正式名称は『東京都青少年の健全な育成に関する条例』
青少年へのタトゥー・刺青の規制は?
東京都ではタトゥー及び刺青に関して、青少年保護条例での規制は全く行なっていない状態です。
大多数の都道府県が規制をしている中で、東京都が規制していない理由は?
各都道府県ごとに事情が異なるため、「〇〇県が規制してるから」ということで規制したりはしません。
実は、数年前に「タトゥー・刺青に関する規制があった方がいいのでは?」という話が上がったのですが、今そこまで青少年へのタトゥーが社会問題になっているわけではなく。
むしろネガディブなキャンペーンだとして反響が大きくなるのでは無いか、と考えたため発足には至りませんでした。
つまり、仮に18歳未満に刺青を施したとして、東京都では条例違反での逮捕は無いということでしょうか?
もちろん、「医師法での逮捕」は起こり得ますが、条例での逮捕はありません。
結果を通した考察
筆者も知らない事実だったが、条例通り東京都では18歳未満への施術で逮捕されることは無い、という検証結果に至った。
ただ、青少年に対するタトゥーの施術は社会倫理的に是非が問われる部分であることには変わりなく、もし行なってしまえば「医師法」での逮捕なども容易に想定されるだろう。
しかし現状の法体制では、仮に「タトゥーと医師法」が切り離された時に、東京都ではタトゥーを規制するルールが一つも無くなってしまい、極端な話、中学生や高校生に対してタトゥーを入れる、ということが可能になってしまう。
今年ないしは来年には、タトゥー裁判の最高裁判決が下されるため、判決を期に条例も改正されることが予想される。
タトゥーを入れたい人へ
このページにたどり着いた方の中には、タトゥーに興味を持った10代の方もいらっしゃるだろう。
最後に、少しだけタトゥーの先輩にあたる筆者から、アドバイスを行なって本記事を締めくくりたいと思う。
タトゥーを入れるタイミング
伝えたいことをまとめると、「タトゥーは何歳でいれても全然遅くない」ということ。
「18歳になったから入れよう!」のような考えは推奨しない。特に見える場所や、大きなものは。
筆者が主張したい理由はただ一つ、「妥協の無いタトゥー・刺青を入れるため」である。
かくいう筆者も、高校卒業をしてすぐの18歳でタトゥーを入れた一人で、19歳になる頃には背中に大きめのタトゥーが入れていた。
後悔は微塵も感じないが、もっとタトゥーについて知ってから入れてもよかったかな、とは思ってしまう。
年齢を重ねるごとにお金の余裕も出てくるし、ものの好みも変わるし、職種もある程度決まってくるだろう。
少しずつタトゥーの世界に足を踏み入れていって、素晴らしい彫り師・タトゥーアーティストの方々を知っていき、「本当にかっこいいタトゥー・刺青」を見極める知識を持った上で、妥協の無い作品を身体に入れていただければ幸いだ。
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タトゥーにはリスクがある
加えてタトゥーには、「就職」「結婚」「生命保険」などの社会的リスクが付きまとう。
DOTTでは、そんなタトゥーのリスクについても様々な記事を書いているため、是非読んで頂き、タトゥーに対する正しい知識を身につけて欲しい。
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まとめ
いかがだっただろうか。
今回はタトゥーと年齢、青少年保護条例について解説を行なった。
DOTTでは、一般の20代〜40代の方々を対象にタトゥーに関するインタビューを行う「YOUR TATTOO」という連載企画があるため、こちらも読んで頂き、よりタトゥーのリアルを知っておくのもいいだろう。
では、良いタトゥーライフを!