ファッションや個性の表現として、世界中で人気のあるタトゥー。
今では洋柄のタトゥーを街中で見かけることも多くなり、動物やレタリング、花のタトゥーなどモチーフの種類も非常に多様になってきている。
今回はその中でも、和彫りの発祥当時より根強い人気のある龍(ドラゴン)のタトゥー・刺青について。
和彫りにおける意味や歴史は勿論、アメリカントラディショナルや流行のスタイルのタトゥーも併せてご紹介しよう。
ConTTents
龍(ドラゴン)のタトゥー
ではまず、刺青・タトゥーにおける龍(ドラゴン)の持つ意味からご紹介しよう。
龍(ドラゴン)のタトゥーの意味
和彫り及び洋彫りにおける龍(ドラゴン)の持つ意味の中で、最も多く語られるものとして「立身出世」が挙げられる。
(中国の「黄河にある滝を鯉が登り切れば竜になる」という言い伝えが由来。)
他にも「皇帝」や「王者」の象徴、また「強さ」を表すものとして、タトゥー・刺青だけではなく日本の歴史建造物など、龍は神格的な位置付けとして広く親しまれている。
幾つかある龍の種類ごとに細かな意味は変わってくるため、詳しくは後述していこう。
日本|和彫りにおける龍の歴史
日本伝統の和彫りにおいて、いつから龍の刺青が彫られるようになったかは、江戸時代の刺青の歴史と浮世絵を照らし合わせるとおおよそ推察出来る。
※歴史や文学には疎いため、情報の正誤は保証出来ない。
日本における刺青は、江戸時代初期の「遊女の起請彫」が発祥というのが最も有力であり、そこから江戸時代後期にわたり浮世絵師の作品を刺青に用いるようになったと言われている。
江戸時代後期(1716年~1853年)には、かの有名な浮世絵師である歌川国芳や葛飾北斎も活躍していたことから、おおよそこの辺りから龍の刺青は親しまれていた、と踏むのが妥当ではないだろうか。
海外|タトゥーにおけるドラゴン
そして、1990年代に日本に伝来したと言われるアメリカンタトゥーのカルチャーであるが、実はドラゴンのモチーフは、アメリカントラディショナルタトゥーでもかつてより描かれていた。
明確な発祥時期を言及するのは難しいが、ドラゴンのタトゥーフラッシュを多く残した※セーラー・ジェリー氏の活躍していた時期も踏まえ推察すると、1900年代前半には既にタトゥーのモチーフとして親しまれていたのだろう。
※セーラー・ジェリー=オールドスクールタトゥーの父と称される、アメリカントラディショナルタトゥーの分野での重要人物の一人。
アメリカのタトゥー歴史と水夫の関係に迫る|〜セーラージェリー篇〜
オールドスクール(アメリカントラディショナル)は数在るタトゥースタイルの一つで、老若男女、世界中で親しまれているタトゥースタイルの一つである。モチーフに対し太めのアウトライン、独特な陰陽のつけ方、色鮮やかな配色のタトゥーを一度は目にしたことがあるのではないだろうか。
船乗りとドラゴンのタトゥー
上記のようなゴールデン・ドラゴンのタトゥーは、「水夫のタトゥー」として知られるアメリカントラディショナルの文化において特別な意味を成していたと言われる。
スワロー(燕)のタトゥーが「5,000マイル航海した証」として彫られていたように、ゴールデン・ドラゴンのタトゥーは「国際日付変更線を横断した証」として船乗りに彫られていたようだ。
龍(ドラゴン)のタトゥー
では、実際に龍(ドラゴン)をモチーフとした刺青・タトゥーの作品をスタイルごとに分けて見てみよう。
和彫り|龍の刺青
まずは、我らが日本の誇る伝統の刺青、和彫りにおける龍の作品からご覧頂こう。
昇り竜
背中一面に彫られた昇り竜は、まるで命を吹き込まれたような臨場感と躍動感が上手く表現され、今にも持ち主の背中から飛び立ってしまいそうな迫力に満ちている。
正面龍
昇り竜が流動的な様子を上手く捉えた「動」とするのであれば、正面龍の堂々たる姿には威厳に満ちた「静」の魅力を感じる。
背中一面、顔いっぱいの正面龍に見つめられた暁には、立ちすくんでしまいそうな圧力がある。
【YOUR TATTOO】孫GONGさん(31) ラッパー VOL.9
今回は孫GONGに「YOUR TATTOO」としてお話を聞かせていただけることになったため、DOTTにてご紹介しよう。彼自身がタトゥー・刺青が日本でどう捉えられているか真摯に考える姿勢が伺える。
九紋龍史進
和彫りにおける『九紋龍史進』は、江戸時代では最も人気のあった刺青のモチーフであったそうだ。
史進に※二重彫りで彫られた九匹の青竜は、刺青愛好家のフェティッシュを強く刺激する。
※「二重彫り」=人物を彫る際、その者にも入った刺青を描画する刺青の技法。
トラディショナルタトゥー
アメリカントラディショナル
アメリカントラディショナル(オールドスクール)におけるドラゴンのタトゥーは、緑・赤・黄がメインとなって描画されることが多く、場合によっては翼の生えた「翼竜」のモチーフが描かれることもある。
筆者オススメの部位は腕。
既に入っているタトゥーの合間を縫うようにドラゴンを入れることもできるため、初心者〜上級者にもぴったりのタトゥー。
ドラゴンを入れたいが、威圧感の少ない可愛らしいタトゥーを入れたい方にはオススメ。
オールドスクールタトゥーとは?アメリカの伝統タトゥーデザイン
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ユーモア溢れるオールドスクールタトゥー|宮崎-Kowhey氏の遊び心を取材
今独特なオールドスクールを得意する宮崎のタトゥーアーティスト、Balance TattooのKowhey氏に取材に伺ったため記事にしたい。彼の作品に滲み出るユーモアの源泉を、彼の愛したかつての幼少期の記憶から遡って見てみよう。
ブラックトラディショナル
さらに、ワンポイントだけで楽しみたいといった方は、よりファッション感のあるブラックトラディショナルはいかがだろうか。
ポップなモチーフだが、カラーが入っていない分シックに仕上がりやすい好例である。
個人的に、頭部のみ入れる場合は手首・手の甲・首、足首など狭めの部位に入れるのがオススメ。
首へのタトゥーがかっこいい!著名人のタトゥー・痛みやデザインまとめ
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コリアントラディショナル
上記は筆者が韓国のアーティスト、Pitta Kim氏にタトゥーを彫ってもらった際の写真。
この作品のように、モチーフに韓国伝統のパターンを落とし込んだタトゥーのスタイルは、コリアントラディショナルと呼称されることもある。
Pitta Kim氏に入れてもらった際のことは下記の記事にまとめているため、気になる方はこちらも読んで頂きたい。
韓国・3泊4日タトゥーの旅へ行ってきた~3・4日目篇 Pitta Kim~
この記事は「韓国・3泊4日タトゥーの旅へ行ってきた~1・2日目篇 Dokgo~」の続きです。 今回は3・4日目ということで、施術の流れ等は勿論、実際に感じた事や考察などを詳しく書き残せていければと思う。
その他のスタイル
リアリスティック
硬く艶のある鱗、ギラついた目、尖った爪・牙を持つことで知られる西洋のドラゴンは、リアリスティックとの親和性も非常に高い。
精巧なドラゴンのタトゥーを彫れるアーティストは世界でも数少なく、アーティストはより慎重に選んで頂くことをオススメする。
リアリスティック及びポートレートの実力派アーティストは下記記事を参照して頂きたい。
ポートレートタトゥーとは?リアルな肖像画・人物画のタトゥー
今回ご紹介するのは、ポートレートタトゥーと呼ばれるスタイルのタトゥーについてである。 発祥や意味は勿論、クールな作品の数々や著名アーティストについても徹底解説をする。
水墨タトゥー
艶美な曲線と躍動感を持つ龍のモチーフは、水墨のタトゥーに落とし込んでも非常にハマる。
単色でも勿論格好いいが、桜や梅の花をカラーで追加し、華やかさをプラスするのも◎。
少し難易度を要するため、オーダーする際は水墨等に力を入れているアーティストさんにお願いしよう。
ヲタトゥー
最後に、世界に誇る日本のアニメ『ドラゴンボール|神龍』のタトゥーもご紹介。
調べて頂くと分かるが、これが実は結構な人気。
主観になるが、神龍をトラッド調に落とし込んだタトゥーがあれば、絶対イカすのになぁ…と。
ただきっと彼らはアニメのタッチさながらの描画を好むのだろうし、それでは意味がないのかな…。
タトゥーを入れたい方へ
DOTTの運営する別サイト『STTUDIO』では、日本のタトゥースタジオとその作品の情報を掲載しています。
これからタトゥーを入れたい!」といった方や、日本のアーティストの方々の作品を見たい方は、参考にしてみて下さい。
まとめ
いかがだっただろうか。
今回はドラゴン・龍のタトゥー・刺青をテーマに、その意味と歴史、スタイルごとのおすすめデザインについてご紹介した。
DOTTではドラゴンの他にも様々なタトゥーモチーフをご紹介しているため、気になる方は是非のぞいてみてはいかがだろうか。
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では、良いタトゥーライフを!